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令和7年度第3回eラーニング 解答解説「痔」

令和7年度第3回「痔」正答と解説

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「痔」確認テスト正答と解説

解答解説-痔

問1.【受診勧奨(病名を口にしない!)】〔答: すべて○ 〕

がん対策情報センターH.P.によると、2020 年の大腸がんの罹患者数は、がんの中で1番目に多く(2 位:肺、3 位:胃、4 位:乳房、5 位:前立腺)、結腸と直腸に分けると、結腸3 位、直腸6 位。食生活の欧米化による高脂肪・高蛋白・低繊維成分の食事の影響で年々増加。S状結腸や直腸にできたがんでは、「便が出にくい、細くなる」「血便が出る」「肛門に違和感がある」「便秘と下痢を繰り返す」などの症状が起こる。大腸の右側は管腔が広くかつ内容物が液状のために症状が出にくく、原因不明の貧血の検査で発見されることがある。
(1)①直腸がんのおそれ。出血量が少なく透明な粘液が出るのは、その他に直腸ポリープも考えられる。小さなポリープでは自覚症状も治療の必要もほとんどないが、大きくなると血便が現れるようになり、がんを伴っている可能性も高くなる。高脂肪・低繊維食が危険因子。ポリープの大部分=腺腫は前がん病変。
②大腸がん、大腸憩室、大腸炎、胃・十二指腸潰瘍のおそれ。どす黒い便は、ある程度の出血後時間が経っていることが考えられる。
(2)①直腸脱、脱肛のおそれ。これらは進行すると、排便と関係なく脱出し、手を使わないと戻らなくなる。「脱肛」の定義は曖昧だが、痔核が広がり脱出するようになった段階からこのように呼んでいる文献もある。一般に痛みはあっても嵌頓痔核ほどではない。痔核が発生する原因として、「静脈瘤説(肛門管の痔静脈叢の静脈瘤と考える)」と「肛門クッション滑脱説(肛門管の粘膜下組織が伸びて滑脱するようになったと考える)」という2つ説明があり、肛門の脱出度によるGoligher の臨床病期分類がよく使われている。直腸そのものの脱出は、「直腸脱」と呼ぶ。
②大腸憩室症のおそれ。大腸壁の弱い部分が押し出されてできたくぼみで、高齢になるほど頻度、数ともに増える。腹痛なく突然に鮮やかな出血をしたり、赤黒くい血が多量に出たりすることがある。4分の3は自然止血すると言われるが、解熱鎮痛薬や抗血栓薬を服用中の人では再出血もしやすい。
③潰瘍性大腸炎(指定難病)のおそれ。赤い血であれば、肛門近くからの出血、粘液が混じるのは炎症が原因と考えられる。直腸から上行性に潰瘍が広がり、腹痛があることも。
④裂肛が進行して見張りイボができたおそれ。繰り返し切れて潰瘍化し、肛門側の皮膚がふくらんで見張りイボができたり、内側には肛門ポリープができたりする。肛門狭窄を起こした場合には手術が適応となることもある。
⑤肛門周囲膿瘍→痔瘻のおそれ。下痢のために、肛門陰窩(肛門小窩)※に細菌が流入、化膿して肛門周囲膿瘍になる。切開排膿により痛みは楽になるが抗生物質による治療が必要。排膿後に生じた瘻管が治らないと痔瘻になる。
※:肛門と直腸の境目(肛門から1.5cm くらい)にある小さなくぼみで、10カ所程度ある。

問2.【セルフメディケーションでも対応できる痔】〔答:①C,②③EF,④B,⑤A,⑥G,⑦D〕

ただし、痔核や裂肛などの出血が逆流して直腸にたまり、赤黒い血が出ることもある。内痔核の類は、入浴などによって肛門を温めることは改善効果がある。

問3.【医薬品の使い分け】
(1)〔答:①D, ②C,③F,④A,⑤E〕しばりに注意。

補中益気湯は、乙字湯と共通する黄耆、柴胡、升麻のような降病※に用いられる「升薬」に分類される薬物を多く含む。痔、特に脱肛に応用されるが、ここでは承認基準における「効能・効果」で判断していただきたい。
※下ってはいけないものが下ったり、下るものではあっても下り過ぎたりする病気。

(2)〔答:①B,②A,③C,④D,⑤E〕
①“セイヨウトチノキ種子エキス”とも呼ばれる。
②リポキシゲナーゼは、アラキドン酸を代謝して免疫及び炎症反応に関与するロイコトリエンを生成する。
③神経線維の膜の内側は-、外側は+に分極しているが、刺激を受けた部位でNa+がナトリウムチャンネルから流入、電位を変化させる(脱分極)。その変化が閾値を超えると急激に電位が逆転、これを活動電位と呼ぶ。活動電位は局部的に電流を流し、隣接部位に新しい活動電位を発生させ、神経線維全長に渡って刺激が伝達される

問4.【患者情報確認・生活スタイル】〔答:①D,②I,③A,④H,⑤G,⑥E〕

外用痔疾薬の承認基準では、局所麻酔成分(アミノ安息香酸エチル、ジブカイン、塩酸ジブカイン、リドカイン、塩酸リドカイン、塩酸パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル※、塩酸プロカイン、塩酸メプリルカイン、オキシポリエトキシドデカン、メピバカイン)又はロートエキスのいずれかを配合しなければならないことになっているが、Pmda の添付文書情報を見る限り、注意書きを増やすロートエキスを配合した製品は現在無い。
※:下線を引いた局所麻酔成分を含有する坐剤又は注入の用法をもつ軟膏剤には、「本剤又は本剤の成分によりアレルギー症状を起こしたことがある人は使用しないこと」、重篤な副作用「ショック(アナフィラキシー)」が記載される。
①免疫機能を抑制するので皮膚の抵抗力が低下し、皮膚感染症を誘発したり、増悪したりするおそれがある。医療用では局所に結核性又は化膿性感染症、ウイルス性疾患、真菌症(カンジダ症、白癬等)のある患者には「禁忌」になっている。痔瘻も考えられるので、受診を勧めた方がよい。
②一応承認基準に配合できる成分として挙げられているので出題したが、現在、リゾチーム塩酸塩を含有する外用痔疾用薬は、Pmda の添付文書情報で探した限り見当たらない。
④ロートエキス配合剤には「(母乳に移行して乳児の脈が速くなることがある)」と理由を記載することになっている。痔に関する薬効においては、他にセンノシド、センナ、ダイオウを含有する場合にも同じ注意の記載があるが、センノシドは母乳中に移行し、乳児に下痢を起こさせるおそれがあるためである。
⑤外用痔疾用薬の承認基準収載アドレナリン作動成分で、この注意を記載するのはdl-塩酸メチルエフェドリン配合の坐剤又は注入の用法をもつ軟膏剤のみ※。収載成分で現在製品があるのは、塩酸エフェドリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナファゾリン(塗布剤のみ)、塩酸フェニレフリン(塗布剤のみ)、dl-塩酸メチルエフェドリン。DHC ジオサーマル(DHC)、ヂナンコーハイ(雪の元本店、販売:ムネ製薬)の2 品目はエフェドリン塩酸塩配合だが自主記載している。
※:承認基準に基づくかぜ薬及び鎮咳去痰薬と整合性を図ったとのこと。これらの薬効に配合できる共通のアドレナリン作動成分はdl-塩酸メチルエフェドリンのみであるため、この成分にのみ記載することになってしまったらしい。
⑥偽アルドステロン症、ミオパチーの防止、及びその悪影響の防止のためである。

問5.【アドバイス】〔答:①○,②×,③×,④○,⑤×〕

①瀉下作用がある成分を含有する内服痔疾用薬には、「下痢」症状のある人は相談するよう記載されている。
②外用痔疾用薬の使用上の注意に記載された日数は、「10日間位」。
③肛門部の痒みは、皮膚真菌症、かぶれ、皮膚疾患、字疾患などの疾病に伴って現れることもある。しかし、洗い過ぎ、拭きすぎ、おしりふきなどのケア用品によって皮脂膜が無くなり、皮膚バリアー機能が低下することで痒みを伝える神経線維が皮膚表面まで伸びてきて増殖し、かゆみを感じやすい皮膚になってしまうことがある。これを「肛門そうよう症」という。便秘や下痢などの便通異常があることが多いので、その改善も大事。
⑤歯状線より上は自律神経支配で、知覚神経を持たないため、内痔核及びそれが原因の出血は痛みを感じない。とは言うものの、純粋に歯状線の奥側にだけに限局してとどまるような内痔核単独例は、そう多くはない。