【令和8年5月1日施行】指定濫用防止医薬品の新ルールを徹底解説
登録販売者が必ず押さえるべき販売対応と現場実践
目次
はじめに
近年、一般用医薬品の「オーバードーズ(過量服用)」が社会問題となっています。特に若年層を中心に、風邪薬や鎮咳去痰薬などの濫用が拡大しており、登録販売者の役割はこれまで以上に重要になっています。
こうした背景を受け、薬機法が改正され、令和8年5月1日から「指定濫用防止医薬品」の販売ルールが大きく強化されます。
本記事では、
・新ルールの要点
・販売時の具体対応
・登録販売者に求められる役割
を、現場ですぐ活用できる形で分かりやすく解説します。
指定濫用防止医薬品とは何か
これまで「濫用等のおそれのある医薬品」とされていたものが、今回の改正で
👉 「指定濫用防止医薬品」へと位置づけ変更されました。
対象となるのは、以下の成分、その水和物及びそれらの塩類を含む一般用医薬品です(外用剤は除く)。
・エフェドリン
・コデイン
・ジヒドロコデイン
・ジフェンヒドラミン
・デキストロメトルファン
・プソイドエフェドリン
・ブロモバレリル尿素
・メチルエフェドリン
これらは本来有効な医薬品である一方、精神作用を目的とした不適切使用(濫用)リスクがあるため、販売時の規制が強化されています。
なぜ規制が強化されたのか
背景には、深刻な実態があります。
- 市販薬の濫用経験者:約65万人(推計)
- SNSで濫用情報が拡散
- 総合感冒薬でも依存事例が報告
つまり、
👉 「誰でも簡単に手に入る医薬品」が依存の入り口になっている
という現状があります。
そのため今回の改正では、
👉 販売時の“確認”と“介入”を強化
する方向へと大きく舵が切られました。
【最重要】販売時に義務化された確認事項
販売時には、必ず以下を確認します。
- 年齢
- 他の医薬品の使用状況
- 他店での購入状況
- 購入理由(特に大量購入時)
- 氏名(18歳未満の場合)
- 適正使用であるかの確認
👉 ポイント
「形式的な確認」ではなく、“適正使用の判断”が目的です。
18歳未満への対応は特に厳格に
今回の改正で特に重要なのが若年者対応です。
■18歳未満の場合
- 氏名の確認が必須
- 大容量・複数購入は不可
- より慎重な聞き取りが必要
👉 見た目だけで判断せず、必要に応じて身分証確認も検討
販売方法も大きく変更
■原則:対面またはオンライン(ビデオ通話)
販売時は以下が求められます。
- 対面販売
または - 映像+音声によるリアルタイム確認(オンライン)
❌ NG例
- 電話のみ
- チャットのみ
👉 理由
購入者の状態を確認できないため
情報提供は「個別対応」が必須
販売時には、単なる説明ではなく
👉 個別対応の情報提供
が必要です。
■伝えるべき内容
- 濫用による健康被害のリスク
- 正しい用法用量
- 注意点
さらに、
■「理解したことの確認」の重み
単に説明するだけでなく、購入者が「そのリスクを理解したことを、登録販売者が確認する」工程が義務化されます。
-
NG: 「この薬は依存性があるので気をつけてくださいね(一方通行)」
-
OK: 「依存のリスクについてお伝えしましたが、今の説明でご不安な点はありますか? 正しい量で使用いただけますか?(双方向)」
👉 「理解したか」「質問はないか」の確認も義務
陳列方法にもルールあり
指定濫用防止医薬品は、以下のいずれかで管理します。
1. 鍵をかけた陳列設備
物理的に施錠できるガラスケースや引き出しに保管します。
2. 購入者が直接手に触れられない陳列設備
カウンターの後ろの棚や、壁の高い位置など、客席側から物理的に手が届かない場所への配置です。
3. 「7メートル」以内 + 専門家の常駐
最も現場で注意が必要なのが、**「手に取れる場所に置く場合」**のルールです。
-
「7メートル」の定義: 登録販売者が情報提供を行うカウンター(情報提供設備)から、直線距離で7m以内に陳列しなければなりません。
-
視認性の確保: 7m以内であっても、柱や高い棚で死角になってはいけません。死角がある場合は「ミラー(鏡)」を設置して、カウンターから常に棚が見える状態にすることが義務化されます。
-
専門家の継続的配置: この方法をとる場合、そのカウンターには専門家が常に待機していなければなりません。レジ打ちや品出しでカウンターを離れる時間が長い店舗では、この陳列方法は認められにくくなります。
👉 ポイント
「自由に取れない」状態を作ることが必須
手順書の整備が義務化
すべての店舗で必要になります。
■手順書に記載すべき内容
- 販売時の確認手順
- 頻回購入者への対応
- 記録方法
- スタッフ間共有方法
👉 現場で統一した対応を行うための“基準書”です。
登録販売者に求められる新しい役割
今回の改正で最も重要なポイントです。
登録販売者は単なる販売者ではなく、
👉 「ゲートキーパー」
としての役割が求められます。
■ゲートキーパーとは
- 濫用の兆候に気づく
- 声かけを行う
- 必要に応じて支援につなぐ
例えば:
- 不自然な複数購入
- 明確でない使用目的
- 若年者の繰り返し来店
👉 これらは見逃してはいけないサインです。
現場で実践すべき対応ポイント
すぐに取り入れられる実務対応を整理します。
■① 声かけを徹底する
「どのような症状で使われますか?」
→ 会話が濫用防止の第一歩
■② 記録・共有を行う
- 購入履歴の記録
- スタッフ間共有
👉 頻回購入の把握が可能に
■③ 店内掲示を活用する
- 確認事項のポスター掲示
- 注意喚起
👉 トラブル防止にも有効
■④ 必要時は支援につなぐ
- 医療機関受診の提案
- 相談窓口の案内
👉 販売を断るだけでは不十分
まとめ
令和8年5月1日からの新ルールは、
👉 「確認の強化」+「介入の強化」
が大きな柱です。
登録販売者には、
- 法令遵守
- 適正使用の指導
- 濫用防止への関与
が求められます。
そして何より重要なのは、
👉 「この販売は本当に適切か?」と考える力
です。
制度の理解だけでなく、
現場での一つ一つの対応が、濫用防止につながります。
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