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令和4年度第2回eラーニング 解答解説「痛みを主訴としない主に胃の症状」

令和4年度第2回 「痛みを主訴としない主に胃の症状」 確認テスト正答と解説


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「痛みを主訴としない主に胃の症状」確認テスト正答と解説

問1.【受診勧奨】医療機関への受診が必要かどうかを振り分ける 。 〔答 すべて ○ 〕
(1)
① 胃がんのおそれ。 罹患率は 40 歳代後半から増加 する。 幽門部付近にでき て 食べ物が流れなくな った例で、もどすことも ある 。 出血 による貧血や黒色便 、 体重の減少に要注意 。 胃 ガン の症状は 胃炎や胃潰瘍でもみられ 、早期にはほとんど 無自覚な ので 定期的に検診を受けることが重要 。 喫煙 、 塩分の多い食品の 取りすぎや 野菜 ・ 果物の摂取不足 、 ピロリ菌の持続感染 等 が 主な 原因 に な る 。
②すい臓がんのおそれ。 膵臓にできる ガン は 90 %以上が膵管の細胞にできる膵管 ガンで 、 膵臓 ガン といえば 、 通常この膵管 ガン を指す 。 早 期の膵臓 ガン に特徴的な症状はないので 、 進行してき起きる症状 と 膵臓 ガン に比較的特徴的な 黄疸 の症状 を示した 。 黄疸 は 膵頭部にでき た ガン が 胆管 を 詰ま らせることで 起こる 。 体重の減少もよくみられる 。 膵臓 ガン ができ る と 、 糖尿病を発症すること も あ る 。 罹患率は 60 歳ごろから増加 し 、 危険因子として糖尿病 、 慢性膵炎 、 肥満 、 喫煙などがあげら る 。
※:体がかゆくなったり、 尿の色が濃くなったり も す る 。 胆石や肝炎が原因 の場合 も あ る 。
(2 )
① 肝硬変のおそれ 。 他にも便秘 ・ 下痢 、 貧血 、 こむら返り 、 皮下出血 、 浮腫 、 微熱 、 黄疸 、 尿の濃 染等があらわれる 。 肝炎ウイルス(主に B 型 ,C 型)の持続感染 、 アルコール 、 非アルコール性脂肪性肝炎 等 によって壊れた肝臓を 、 修復する うちに 線維が増加して肝硬変になり 、 肝ガンへ と 進展する 。 また肝硬変が進むと意識障害を起こしたり 、 門脈の流れが悪くなることから食道や胃に静脈瘤ができ 、 破裂すると大量の吐血や下血が起こる 。肝臓のガンは、 肝臓の細胞がガンになる「肝細胞ガン」 、 胆管の細胞がガンになる「胆管細胞ガン」等の「原発性肝ガン」と 、 別の臓器から転移した「転移性肝ガン」に大別でき 、 日本では肝ガンといえば肝細胞ガンを指す 。
②胃食道逆流症のおそれ。 食道と胃のつなぎ目には下部食道括約筋という筋肉があり、この筋肉が食道の下の部分を締め付けるので、逆流せずにす む 。ところが胃に食べ物がたまってくると、この下部食道括約筋が緩んで、胃内部の空気を外へ出そうとする 。これ がげっぷで 、 このとき胃にたまった胃酸も逆流することがあり、この逆流が頻繁に起こることが胃食道逆流症の主な原因。非びらん性胃食道逆流症では食道粘膜が通常より過敏になっているために少しの胃酸でも敏感に反応して胸焼けなどの症状が起こる。非びらん性胃食道逆流症では、食道のぜん動運動などの機能の問題や、精神的な原因の場合も。
③つわりのおそれ 。 hCG 産生腫瘍 等 でも擬陽性を呈することがある ので、 陽性 なら受診するよ う記載されている 。
また 、 この時期は 、 胎児が薬物の影響を受けやすいので 、 妊娠中の症状 を 効能・効果 に 持たない医薬品の使用は避ける 。 「つわり」の効能・効果は 、 半夏厚朴湯、 小半夏加茯苓湯、 乾姜人参半夏丸等にある 。 妊娠は 、 最終月経初日から数えて 4 週間ごとに 1 か月と数え 、 つわりは一般的に妊娠 2 カ月目くらいから症状があらわれる 。
④うつ病のおそれ。 体の不調:睡眠障害や疲労感・倦怠(けんたい)感、首・肩のこり、頭が重い、頭痛など 心の不調:意欲・興味の減退、仕事能力の低下、抑うつ気分、不安・取り越し苦労など。
⑤胃不全まひのおそれ。 主な症状として、食後の胃もたれ、早期満腹感、胃痛などに加えて、吐き気やおう吐を訴える患者さんが多いのが胃不全まひの特徴 。さまざまな要因で引き起こされ る が、 1 番の要因は糖尿病。

問2.【一般用医薬品でも対応できる消化器の症状 】 〔答 ①B,②C,③A,④E〕
「機能性胃腸症」は、 検査 しても異常がないのに 、 食後の 胃もたれ 感 、 少ししか食べていないのにおなかが苦しくてそれ以上食べられない 、食事とは関係なく 胃 が 痛 い 、 胃のあたりが灼けるように感じる といった症状が起こ り、 OTC を使う機会がある 。
『きょうの健康大百科』によると、 六君子湯は 、 血管の筋肉を弛緩させる「一酸化窒素」に働き かけて胃壁 を柔軟にし 、 更に 排出機能を高めたり 、 食欲刺激ホルモンを活性化して食欲不振を改善したり 、 胃の血流を促して胃の粘膜を保護する効果もあるという 。 一方 、 黄連解毒湯にはプロスタグランジンなどを増やす働きがあり 、 胃腸の潰瘍は西洋医学による治療が向いてはいるものの 、 小腸潰瘍の予防や進行防止に効果的だという 。

問3 【 胃腸薬 の主作用の特徴】
(1)〔答 ①D,② A, ③ E,④B,⑤C 〕
F. ジアスターゼ でんぷんを分解する酵素アミラーゼの俗称であるが、本剤は麦芽を原料とする植物アミラーゼに属し、でんぷんに作用する。
(2)〔答 ①D,②C,③F,④A,⑤E〕
B. 人参湯 理中丸 体力虚弱で 、 疲れやすくて手足などが冷えやすいものの次の諸症:胃腸虚弱 、 下痢 、 嘔吐 、 胃痛 、 腹痛 、 急・慢性胃炎
G.半夏厚朴湯:気分がふさいで、咽喉、食道部に異物感があり、ときに動悸、めまい、嘔気などを伴う次の諸症 不安神経症、神経性胃炎、つわり、せき、しわがれ声、神経性食道狭窄症、不眠症

問4 .【患者情報確認・生活スタイル】 〔答 ① H ,② B, ③ C,④ D ,⑤A,⑥F,⑦G,⑧E,⑨I 〕
①〔 抗 コリン 成分 〕 胃腸鎮痛鎮痙薬には「胸やけ」の効能・効果を書け る 。 その主薬なのだが逆流は起きやすくなる 。
②〔 ピレンゼピン 塩酸塩水和物 〕 ムスカリン受容体に対して 、 選択的に拮抗し 、 攻撃因子を抑制する 。 そのため 、従来の抗コリン剤と異なり瞳孔 、 心拍数 、 胃腸管運動 、 排尿などにほとんど影響することなく 、 酸分泌を特異的に抑制することより 、 比較的安全な効果を有する薬剤であるといえる 。 (医療用ガストロゼピン錠の I.F. より)妊娠との関係では、 医療用の添付文書 に 「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること 。 [妊娠中の投与に関する安全性は確立していない 。 ] 」と あ る 。 オキセサゼイン も 同様 。 一方 、 アミノ安息香酸エチル 、 ゲファルナート 、 ブチルスコポラミン臭化物 、 セトラキサート塩酸塩 、 ソファルコン 、 テプレノン 、トリメブチンマレイン酸塩 、 パパベリン 、 チキジウム臭化物 、 トロキシピドも 医療用では 同様 の記載 だが 、 「相
談すること」になっている 。 ロートエキス は 「相談すること」になっているが 、 医療用では 、 胎児又は新生児に頻脈等を起こすことがあるので 、 「投与しないことが望ましい」とされる 。
※パパベリンに限り、 理由部分のみ記載されており 、 投与と判断については触れられていない 。
③〔ウルソデオキシコール 酸〕 胃腸薬に記載されている 。 医療用の添付文書には「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい 。 [動物実験(ラット)で妊娠前及び妊娠初期の大量( 2,000mg/kg/ 日)投与により胎児毒性(胎児吸収)が報告されている 。 ]」と あ る。
④〔 ロートエキス 〕 母乳に移行して乳児の脈が速くなることがある 。 授乳に関して 医療用では以下のとおり 。
「母乳中に移行する」:ジサイクロミン塩酸塩 (人で) 、 ソファルコン (ラットで )、 トロキシピド (ラットで)
「安全性が確立していない」:チキジウム臭化物 、 トリメブチンマレイン酸塩ジサイクロミン塩酸塩、 チキジウム臭 化物は「相談すること」 、 他は現在ロートエキスとの配合剤しかない 。
⑤〔カンゾウ 1 日最大量原生薬として 1g 以上) 〕 偽アルドステロン症 に備えた注意 。 ナトリウム及び体液貯留による浮腫 、 循環血流量増加による心・腎への負担増加及び血圧上昇 、 並びにカリウム排泄促進による血圧上昇 、不整脈及び四肢麻痺等( ミオパチー )を招く 。 腎機能が低下している場合には 、 特に要注意 。
⑥〔アルミニウム塩 〕 蓄積によりアルミニウム脳症 、 アルミニウム骨症を起こすリスクが高いため 。 名前に「アルミ」を含まない合成ヒドロタルサイト 、 アルジオキサ 、 スクラルファートには要注意 。
⑦〔カルシウム塩 〕 高カルシウム血症 の おそれ 。 医療用では甲状腺機能低下症又は副甲状腺機能亢進症の患者に禁忌 。
⑧〔セトラキサート 塩酸塩〕 本成分は代謝されて 、 抗プラスミン作用(血栓成分のフィブリンを溶解するプラスミンの働きを阻害する)を有するトラネキサム酸を生じるので 、 血栓を安定化するおそれがある 。
⑨〔 テプレノン 〕 これらにはまれに起こる重篤な副作用「 肝機能障害 」 についての記載 も ある 。 一方 、 医療用の添付文書 でも 重篤な副作用 「 肝機能障害 」 の記載 は あるが 、 肝臓病患者に対して禁忌や慎重投与にはなっていない 。メーカーによると 、 セルベックス (テプレノン )に は「その他の副作用」において「肝臓(0.1~ 0.1 5 %未満 )AST(GOT) 、 ALT( GPT )の上昇」 の 記載があり 、 肝臓に負担をかけないわけではないと考えられるので 記載 。 トリメブチンマレイン酸塩は 、 肝機能障害が起こった場合の既往症への配慮 だとのこと 。
ソファルコン、 チキジウム臭化物 の製剤 にも 重篤な副作用 「肝機能障害」の記載はあるが 、 当該注意は無い 。

問5 .【アドバイス】 〔答 ① ○ ,② × ,③○,④ ○ ,⑤ 〇 〕
①子宮外妊娠や 排卵日が後ろにずれた場合 、 hCG ヒト絨毛性ゴナドトロピン を十分検出できないこ とがある 。
②健胃生薬が配合された胃腸薬の場合 、 味や香りを遮蔽する方法で服用されると効果が減弱することがある 。
⑤重曹は 一般用では長期連用禁止、医療用では投与禁忌。 承認基準の重曹=炭酸水素Na1日最大量は5 g( 2 g/ 日未満の製品が多い 。) 1 g 中の Na は 、 食塩 0.7g に相当 。 高血圧患者 、 慢性腎臓病患者の目標は食塩換算で6 g/ 日未満 。