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令和4年度第4回eラーニング 解答解説「胃痛及び腹痛(便秘を伴わない)」

令和4年度第4回 「胃痛及び腹痛(便秘を伴わない)」 確認テスト正答と解説

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「胃痛及び腹痛(便秘を伴わない」確認テスト正答と解説

解答解説-胃痛及び腹痛(便秘を伴わない)

問1.【受診勧奨】医療機関への受診が必要かどうかを振り分ける。
〔答:全て○〕
(1)①虫垂炎のおそれ:最初に臍の回りが痛むことも。一般には発熱を伴う。ただし、これらの典型症状が現れるのは半数ほど。放置すると腹膜炎や敗血症を起こして命取りになりうる。吐き気や嘔吐を伴うことのある初期の心窩部、臍周囲、下腹部等の鈍痛は内臓痛※。腹膜に炎症が及ぶと鋭い痛みの体性痛が強くなる。虫垂の免疫細胞により腸内フローラが整えられているらしく、虫垂炎の手術をした人はその後の1年半~3年半の間の大腸がんのなりやすさが2.1 倍になるという報告がある。一方、薬で治療すると10~35%の人は再発するという。
②手術の必要な重篤な疾患のおそれ:消化管の痙攣であれば抗コリン剤で楽になりそうだが、問題文の痛みの性質から、腹膜や腸間膜などへの刺激(炎症)で起こる体性痛が考えられる。解熱鎮痛薬で楽になりうるが、消化管穿孔、絞扼性腸閉塞※、臓器破裂、虫垂炎、膵炎等が進んで腹膜炎になっていたら、緊急性が高い。
腹膜炎になると、その部位では押した時より離した時に痛みがひどくなる(反跳圧痛)。
③子宮外妊娠のおそれ:子宮内腔の粘膜以外の場所、多くは卵管内で妊娠したもの。その場所で流産や卵管破裂すると、腹腔内出血の量と速さにより、程度の異なる下腹部痛(ほとんど痛みがない~突然の激痛)が起こる。
④虚血性大腸炎のおそれ:多くは動脈硬化と関係し、高齢者に多いが、発症直前に便秘をしていることが多く、便秘の若い女性にも起こる。大腸の虚血のため激しい腹痛が起こり、粘膜に浮腫と潰瘍が生じて出血する。入院して腸を休めることで多くは快復するが、急速に悪化して敗血症やショック状態を合併して死に至る場合もある。
(2) ①胃・十二指腸潰瘍とそれによる貧血のおそれ:上腹部痛は典型症状で、十二指腸潰瘍では空腹時や夜間に、胃潰瘍では食後30 分から1時間たったあとにみられることが多いが、痛みが出ない人も2~3割いる。胸やけ、吐き気、嘔吐等の症状もみられる。潰瘍部からの持続的な出血があると、貧血症状、吐血、黒色便(海苔のつくだ煮様のタール便)がみられるようになる。原因のほとんどはピロリ菌とNSAIDs。この他、ストレスは粘膜の循環血液量の低下を招くし、刺激物の飲食や喫煙等は胃酸の分泌量を増やしマイナス要因。
②胆石症のおそれ:2~3 割の人はほとんど症状がないが、半数以上は「胆道痛」といわれる問題文のような痛みがみられる。黄疸で目が黄色くなったり、石で胆のうや胆管に炎症を生じて高い熱が出たりすることも。美食家、糖尿病患者、血中コレステロール値の高い人は要注意。狭心症でも、労作時や消化管に血液が集中した時に痛みをみぞおちで感じることがあり、安静にしても15 分を超えて持続するなら心筋梗塞も考えられ、緊急性が高い。
③急性膵炎のおそれ:背中に痛みを訴える場合もある。主な原因は飲酒と胆石。膵臓が浮腫み炎症が強いと膵臓の血流が悪くなって組織が壊死する。膵臓で作られた消化酵素が膵臓自体や周囲の組織を消化してしまうことも。
④尿路結石のおそれ:石ができる場所によって症状の現れ方は様々だが、尿路で石が詰まって尿が流れ難くなるため、内圧の上昇・被膜の伸展により、主に背中や脇腹に内臓痛が起きる。痛みは、七転八倒するような激痛の場合もあるが、鈍痛の場合もある。その他には、血尿や吐き気といった症状もみられることがある。
⑤アニサキス症のおそれ:アニサキスはオキアミを中間宿主、クジラやイルカなど海の哺乳動物を終宿主とする寄生虫。サバ、サケ、ニシン、スルメイカ、イワシ、サンマ等※の生食後、多くは食後8時間以内に胃腸粘膜にくい込んで嘔吐を伴う腹痛を引き起こす。4℃以下で保存して寄生しやすい内臓を早期に除去しないと筋肉へ移動する。加熱又は冷凍により死滅するが、通常の料理で用いる程度のお酢、ワサビ、醤油等では死滅しない。

問2.【一般用医薬品でも対応できる胃痛】
〔答: ①B,②C,③A〕

問3.【一般用医薬品の使い分け】
(1)〔①I,②E,③F,④G,⑤B〕人参湯と理中丸の効能・効果は同じ。
A.四:体力中等度以上で、胸腹部に重苦しさがあり、ときに不安、不眠などがあるものの次の諸症:胃炎、胃痛、腹痛、神経症
C.人: 体力虚弱で、疲れやすくて手足などが冷えやすいものの次の諸症:胃腸虚弱、下痢、嘔吐、胃痛、腹痛、急・慢性胃炎
D.六:体力中等度以下で、胃腸が弱く、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすく、貧血性で手足が冷えやすいものの次の
諸症:胃炎、胃腸虚弱、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐
H.小柴:体力中等度で、ときに脇腹(腹)からみぞおちあたりにかけて苦しく、食欲不振や口の苦味があり、舌に白苔がつくものの次の諸症:食欲不振、はきけ、胃炎、胃痛、胃腸虚弱、疲労感、かぜの後期の諸症状
(2)〔答:①E,②B,③D,④F,⑤G〕
A.アミノ:局所麻酔成分で胃粘膜の知覚神経末端を麻痺させ、中枢への刺激伝達を遮断して疼痛、嘔吐を鎮める。
C.パパ:各種平滑筋に対して直接的な弛緩作用を示す。血管平滑筋の緊張を取り除き、血管拡張・血流量増加。内臓平滑筋に対しては、特に痙攣性に収縮している場合に、鎮痙作用が著しい。

問4.【患者情報確認・生活スタイル】
〔答:①E,②D,③A,④B,⑤I,⑥H,⑦F,⑧G〕
①〔オキセサゼイン(第1 類ではH2 ブロッカーも)〕医療用の添付文書では、妊娠中の投与に関する安全性は確立していないため、「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」とされている。アミノ安息香酸エチル、ゲファルナート、ブチルスコポラミン臭化物、セトラキサート塩酸塩、ソファルコン、テプレノン、トリメブチンマレイン酸塩、パパベリン、チキジウム臭化物、トロキシピドも同様だが、「相談すること」になっている。ロートエキスを配合していても「相談すること」になっているが、医療用では、胎児又は新生児に頻脈
等を起こすことがあるので、「投与しないことが望ましい」とされる。ところで妊娠5 週~8 週くらいの腹痛には子宮外妊娠も考慮する必要がある。この期間に当たるなら受診勧奨。
②〔ロートエキス〕母乳に移行して乳児の脈が速くなることがある。授乳に関して医療用では以下のとおり。「母乳中に移行する」:ジサイクロミン塩酸塩(人で)、ソファルコン(ラットで)、トロキシピド(ラットで)「安全性が確立していない」:チキジウム臭化物、トリメブチンマレイン酸塩ジサイクロミン塩酸塩、チキジウム臭化物は「相談すること」、他は現在ロートエキスとの配合剤しかない。
③〔アミノ安息香酸エチル〕メトヘモグロビン血症※が報告されているため。オキセサゼインは、使用経験が少なく安全性が確立していないため「15 歳未満の小児」は使用できない(第1 類ではH2 ブロッカーも)。
※酸素運搬能力の低いメトヘモグロビンが全体の10%以上(通常1%以下)に増加し、貧血症状を呈する。
④〔ピレンゼピン塩酸塩水和物〕ムスカリン受容体に対して胃に選択的に拮抗し、攻撃因子を抑制する。そのため、従来の抗コリン剤と異なり眼、心臓、唾液腺、膀胱等にほとんど影響しない。また、胃粘膜血行動態改善作用、胃粘液量増加作用、ストレス負荷時の胃粘膜中プロスタグランジン量減少抑制作用等、防御因子増強作用も有す。
⑤〔チキジウム臭化物〕スイッチOTC。医療用で「禁忌」⇒一般用で「してはいけないこと」で処理されている。
⑥〔小建中湯〕虫垂炎との鑑別。虫垂炎の初期には悪心・嘔吐を伴って、みぞおちあたりの異常が感じられ、効能・効果の対象となる腹痛と区別するため、「吐き気・嘔吐のある人」は、「相談すること」になっている。
⑦〔アルミニウム塩〕蓄積によりアルミニウム脳症、アルミニウム骨症を起こすリスクが高いため。名前に「アルミ」を含まない合成ヒドロタルサイト、アルジオキサ、スクラルファートには要注意。
⑧〔カルシウム塩〕高カルシウム血症のおそれ。医療用では甲状腺機能低下症又は副甲状腺機能亢進症の患者に禁忌。パパベリン塩酸塩:相談事項中の病歴は「緑内障の診断を受けた人」のみ。自律神経系を介した作用ではないが、眼圧を上昇させ、緑内障を悪化させるおそれがあるとされる。医療用では慎重投与である。

問5.【アドバイス】
〔答:①×,②○,③×,④○,⑤○〕
①「とりあえず」という安易な発想で使用すると、診療を受けた際に発生部位が不明確になる等、原因の特定を遅らせるおそれがある。また、受診を先延ばしにすることもありうる。最低でも問1の症状を確認しておきたい。
②解熱鎮痛成分は防御因子の機能を抑制し、副腎皮質ホルモン(ストレスも原因に)は攻撃因子の機能を促進する。
③アルコールは胃酸分泌亢進、タバコは血管を収縮させて防御因子の機能低下につながる。