【登録販売者 まめ知識】頭痛、めまい「気象病」とは?有効なOTC漢方薬について
気象病とは
気象病とは、気圧、寒暖差、湿度の変化によって引き起こされる体調不良のことです。主な症状には、めまい、頭痛、肩こり、吐き気、全身倦怠感などがあります。特に気圧の変化が大きく影響し、耳の奥にある内耳が気圧の変動に敏感に反応することで不調が現れます。その他、骨格の歪みや自律神経の乱れも原因となります。
漢方薬の有効性
漢方薬は、自然の植物や鉱物を基に作られ、体全体のバランスを整えることを目的としています。気象病に対しては、自律神経の調整や血流の改善を図ることで症状の緩和を目指します。以下に、気象病の症状別に有効とされる漢方薬を紹介します。
頭痛やめまい
- 五苓散(ごれいさん)
水分バランスを整え、むくみや頭重感、めまいなどの症状を改善します。低気圧による頭痛や体のだるさにも効果があります。 - 半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)
下肢が冷え、めまい、頭痛などがある人に有効です。 - 苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
自律神経の乱れによるめまいや頭痛に効果があります。特に緊張型頭痛やストレスによる症状に適しています。 - 呉茱萸湯(ごしゅゆとう)
冷えやストレスが原因の頭痛やめまいに有効です。特に冷え性の方に適しています。
関節痛や筋肉痛
- 独活寄生丸(どっかつきせいがん)
独活寄生丸は、関節や筋肉の痛みを緩和し、血流を改善します。特に慢性的な関節痛に適しています。 - 葛根湯(かっこんとう)
葛根湯は、風邪の初期症状だけでなく、筋肉のこわばりや肩こりにも有効です。 - 五積散(ごしゃくさん)
手足のしびれに有効です。
疲労感や倦怠感
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
補中益気湯は、全身の疲労感や倦怠感を改善し、免疫力を高めます。特に虚弱体質の方に適しています。 - 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
十全大補湯は、体力回復や免疫力向上に有効で、慢性的な疲労感に効果的です。 - 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、加味逍遙散(かみしょうようさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
ホルモンバランスの乱れからくる自律神経の不調に効果的です。疲れやすい方や冷え性、イライラなどの症状を改善します。 - 抑肝散(よくかんさん)
不眠に効果があります。
生活習慣の改善
漢方薬と併用して、規則正しい生活、適度な運動、十分な睡眠、体を冷やさないようにすることが大切です。
- 規則正しい生活リズムを保つ
毎日同じ時間に起床し、就寝することで自律神経のバランスを整えます。 - 適度な運動を取り入れる
ウォーキングなどの有酸素運動を週2〜3回、20〜30分程度行うことで血行を促進し、自律神経の調整を助けます。 - バランスの取れた食事
3食バランスよく摂取し、朝食抜きや夕食の過食、夜中の間食は控えましょう。 - 十分な睡眠時間の確保
質の良い睡眠を確保するために、寝室の環境を整え、リラックスした状態で眠りにつくことを心がけます。 - ストレス管理
趣味やリラクゼーション法を取り入れ、ストレスを適切に解消します。 - 適切な水分補給
こまめに水分を摂ることで、体内の水分バランスを保ちます。特に夏場や運動後は注意が必要です。 - 禁煙
喫煙は交感神経を刺激し、末梢血管を収縮させるため、禁煙を心がけましょう。 - マッサージ
耳をマッサージしたり、ホットタオルなどで耳を温めることで内耳の血行を良くし、センサーの過剰反応を防ぎます。 - 気象変化への対応
天気予報をチェックし、特に低気圧が予想される日は無理をせず過ごします。
気象病になる人とならない人の違い
考えられる原因
気象病は、主に内耳が気圧の変化に敏感に反応することで起こります。飛行機や高層ビルのエレベーターで耳がキーンとなるのは、内耳内の空気が膨張や収縮するためです。低気圧が近づくと、同様の現象が気象病患者の内耳でも起こります。
- 自律神経のバランスが崩れやすい
自律神経は心臓、血圧、消化器などの働きを調節しています。気圧や湿度、温度などの変化が自律神経に影響を与え、過敏に反応すると血管が収縮したり拡張したりして頭痛やめまいを引き起こします。 - 内耳の機能低下
内耳は聴覚だけでなく平衡感覚も担っています。気圧の変化を感じる耳管があり、内耳の機能が低下すると頭や耳に痛みや違和感を感じたり、めまいや吐き気を起こしたりします。 - 性別と年齢
女性は男性よりも気象病になりやすいとされています。これは、女性の内耳が男性よりも敏感で気圧の変化を感じやすいためです。
若年者は頭痛、高齢者はめまいのリスクが高いです。 - 骨格のゆがみ
骨格のゆがみやそれに伴う体のコリや疲労の蓄積も関係しています。ストレートネックや猫背、そり腰などの骨格のゆがみが強い人は、筋肉の緊張に左右差が生じ、疲労が蓄積しやすなります。これにより自律神経が乱れ、気象病の症状が現れます。 - その他の要因
PMS(月経前症候群)や更年期障害がある人
乗り物酔いしやすい人
ストレスや疲労が溜まりやすい人
まとめ
規則正しい生活、適度な運動、体の冷えを防ぐことなども、気象病の発症を防ぐ要因です。日常生活の中で骨格のバランスを整え、疲労を軽減することが重要です。
気象病の症状を和らげるために、漢方薬は有効な選択肢となり得ます。症状に応じた漢方薬を選び、自律神経の調整や血流の改善を目指すことで、気象病による不快な症状を緩和することができます。OTC漢方薬も手軽に利用できるため、症状に合ったものを選び、日常生活に取り入れるようアドバイスをしてください。
また、漢方薬は即効性があるわけではなく、継続的な服用が必要です。副作用のリスクも考慮し、お客様が購入前に薬剤師または登録販売者に相談にできる体制作りができればよいですね。
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