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令和6年度第2回eラーニング 解答解説「一般用医薬品の薬理学」

令和6年度第2回「一般用医薬品の薬理学」正答と解説

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「一般用医薬品の薬理学」確認テスト正答と解説

解答解説-一般用医薬品の薬理学

問1.【自律神経について】〔答:①B,②D,③E,④K,⑤F,⑥J,⑦G〕
交感神経系で働いているアドレナリン受容体には、いくつかのタイプ(α、β)がある。また、それらに作用する物質も神経伝達物質のノルアドレナリン、アドレナリンの他に複数存在し、受容体のタイプによって優位に作用する物質(作動薬)が異なる。医薬品を適用する場合は、このことを利用して、作用させたい器官に存在する受容体のタイプに合わせて選択される。
主に副交感神経系で働いているコリン受容体も、いくつかのタイプ(M、N)がある。また、それらに作用する物質も神経伝達物質のアセチルコリンの他に複数存在しタバコのニコチンはその代表例である。しかし、医薬品では作動薬よりも拮抗薬=抗コリン成分が重要。交感神経系の発汗機能は例外的にコリン受容体が司るため、抗コリン薬により発汗が妨げられることがある。チキジウム臭化物配合剤(大正胃腸薬P、太田胃散ペイノン錠)に、「本剤の服用により汗が出にくくなることがあるため、高温下での作業等をさけてください」との注意書きが
あるのは、このためである。

問2.【自律神経に働く薬と使用上の注意】〔答:①L,②B,③H,④A,⑤F,⑥G,⑦D,⑧J〕
免疫学的副作用の発現頻度は低いものの、ときとして重症化する。予測は困難なので、早期発見が重要になる。
(1) アドレナリン作動成分のうち、プソイドエフェドリンに限り、「前立腺肥大による排尿困難」の症状のある人、「高血圧、心臓病、甲状腺機能障害、糖尿病」の診断を受けた人について、「してはいけないこと」に、「腎臓病」の診断を受けた人、「モノアミン酸化酵素阻害剤(セレギリン塩酸塩等)※で治療を受けている人」について、「相談すること」に記載。
※:「モノアミン」に分類される神経伝達物質は、ドパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン、セロトニン、ヒスタミン。薬剤によって特異性があるが、これらを酸化・不活化する酵素を阻害する薬物がモノアミン酸化酵素阻害剤。
(2) 「ベラドンナアルカロイド類」と表記したのは、「ベラドンナ総アルカロイド」、「ベラドンナエキス」の他、その成分であるスコポラミン、アトロピン、ヒヨスチアミン等を指す。ベラドンナと同じナス科のハシリドコロ(ロートエキス)やチョウセンアサガオ(ダツラエキス)の成分もこれらを含む。チキジウム製剤(効能・効果:胃痛、腹痛、さしこみ)は、スイッチOTC であるため、基準処方の抗コリン剤よりも念入りな使用上の注意になっている。「緑内障、前立腺肥大、心臓病、麻痺性イレウス(腸閉塞)、甲状腺機能亢進症、不整脈、潰瘍性大腸炎」の診断を受けた人について「してはいけないこと」に記載。更に「本剤の服用により汗が出にくくなることがあるため、高温下での作業等をさけてください」とも記載されている。外用痔疾用薬にはロートエキスを配合可能で、坐剤や注入軟膏剤には、内服薬と同様の記載があるので要注意。
(3) 薬物が脳内に移行することにより、眠気などの自覚症状の有無にかかわらず、集中力、判断力、作業効率が低下することをインペアードパフォーマンスという。抗ヒスタミン剤の副作用だった「眠気」を逆手に取ったのが、ジフェンヒドラミンの睡眠改善薬で、その使用上の注意は、一部特有の記載になっている。「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないこと」の説明は「(眠気をもよおして事故を起こすことがある。また、本剤の服用により、翌日まで眠気が続いたり、だるさを感じる場合は、これらの症状が消えるまで、乗物又は機械類の運転操作をしないこと。)」となっている他、「緑内障」の他に「前立腺肥大」の診断を受けた人も「相談すること」に加えられている。また、症状の持続又は増強が見られた場合の対象症状は、睡眠改善薬であることから「眠気」は削除され、「口のかわき、下痢」となっている。

問3.【鏡像異性体について】〔答:①A,②G,③E〕
1つの炭素原子は化学結合できる手を4つ持っている。その4つの手が全て違う構造物と結合している炭素を「不斉炭素原子」と呼ぶ。鏡像異性体の存在する物質は、不斉炭素原子を持っている(問題用紙の構造式中「*」)。
例に挙げたクロルフェニラミンの場合、l体に主作用が無く、副作用だけがあるため、分離してd体のみを配合することで副作用を軽減できる。しかし、この手法は、どの鏡像異性体にも応用できるわけではなく、例えばサリドマイドの場合は、分離して製剤化しても生体内で催奇形性のある方が生成されてしまうという、都合の悪い性質も有している。