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令和6年度第4回eラーニング 解答解説「肩こり、筋肉痛、腰痛、関節痛」

令和6年度第4回「肩こり、筋肉痛、腰痛、関節痛」正答と解説

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「肩こり、筋肉痛、腰痛、関節痛」確認テスト正答と解説

解答解説-肩こり、筋肉痛、腰痛、関節痛

問1.【受診勧奨】医療機関への受診が必要かどうかを振り分ける。
〔答:(1)、(2)全て○(全て正しい)〕
注意!:診断はできません。受診勧奨の際、思い当たる病名などを口に出さないように注意しましょう。
(1)①横紋筋融解症のおそれ。骨格筋の細胞が融解、壊死することにより、筋肉の痛みや脱力などを生じる。血液中に流出した大量の筋肉の成分(ミオグロビン)により、腎臓の尿細管がダメージを受け、急性腎不全を引き起こすことがある。医薬品の副作用、外傷、脱水や熱中症によって起こる場合もある。
②椎骨腫瘍,胆石,膵炎,腎臓結石,子宮筋腫,腹部大動脈瘤等のおそれ。臓器に分布する神経や腰周囲の神経が刺激され痛みが起こる。腰の痛み以外に、胃腸症状や血尿、不正出血等、原因となる病気特有の症状を伴うことが多い。腹部大動脈瘤が破裂すると命に関わるし、脊椎腫瘍は転移性の場合が多いため、(1)に含めた。
(2)①骨粗鬆症による椎骨の圧迫骨折のおそれ。椎骨が連鎖的に骨折していくことで背中が丸くなる。カルシウムは神経の働きやホルモンの分泌などにかかわっており、一定の血中濃度が必要で、摂取量が不足すると骨から補われる。加えて、女性は閉経後にエストロゲンが急速に減少、破骨細胞による骨吸収が亢進して骨量と骨質が低下して骨粗鬆症を起こす。特にやせている女性はリスクが高い。
②椎間板ヘルニアのおそれ。椎間板に強い圧力がかかり、髄核などの椎間板組織が飛び出して神経を刺激し、痛みが起こる。麻痺、筋力低下が起こることがある。
一方、椎間板が、潰れたり裂けたりしたために、脊柱が安定せず、立つときや寝返りを打つときなどに鈍痛を感じるのは椎間板症と呼ばれる。
③脊柱管狭窄症のおそれ。加齢等によって腰椎や靱帯などが変形して脊柱管が狭くなり、中を通る脊髄が圧迫されて痛みやしびれが起こる。間欠性跛行は閉塞性動脈硬化症でも起こるが、本症では背骨を後ろに反らすと脊柱管が狭くなるために起こる。前かがみになるシルバーカーでの歩行や自転車の運転では症状が出にくい。進行すると、下肢の筋力低下、肛門周囲のほてりや排尿障害が起こる。腰椎がずれて類似症状が現れるのは“すべり症”と呼ばれる。
④骨折・脱臼・捻挫のおそれ。関節に力が加わり、骨同士の位置関係が通常の範囲を越えて動いた場合のケガのうち、X線写真で診断がつかないものが「捻挫」。捻挫は靭帯、腱や軟骨の損傷で、重症でも1~2か月で症状が軽快するため、かえって無理をして関節内に二次的な傷を作り、変形性関節症の原因になることがある。
⑤変形性膝関節症のおそれ。主な症状は膝の痛みと水がたまることで、進行すると安静時にも痛みがとれず、変形が目立ち、膝がピンと伸びず歩行が困難になる。関節軟骨の老化によることが多く、肥満や遺伝も関与している。膝関節の外傷や病気の後遺症として発症することもある。高齢者になるほど罹患率は高くなる。
⑥関節リウマチのおそれ。関節液を作り関節内の異物排除に関わる“滑膜”の周辺に、リンパ系細胞が異常に集積、産生された炎症性サイトカインにより滑膜に炎症が起き、異常増殖を誘発して関節が壊れる。貧血や微熱、全身倦怠感等もみられる。炎症が大きな関節におよび、特に頚椎が侵されてズレると麻痺を起こすことも。
⑦痛風のおそれ。四肢の関節に激痛発作が起こる。問題文は典型症状。尿路結石や耳介に痛風結節が出来ることも。尿酸排出機能の低下、暴飲・暴食、肥満、激しい運動等が原因となって高尿酸血症になると、関節内に尿酸塩結晶を生じ、白血球の働きで急性関節炎を起こす。高尿酸血症状態が続くと尿酸結石が腎臓に生じ、腎不全を起こすこともある。

問2.【一般用医薬品でも対応できる症状】〔答: ①②B及びC,③F,④⑤A及びD,⑥E〕
(1)筋膜性腰痛症の症状で、腰痛の7~ 8 割を占める。肩こりも同様の理屈で起こるので、対処も同じ。
(2)痛みは、一般には損傷の程度と一致するが、痛みを感じにくい靭帯もあるため、痛みが強くなくても、安静に過ごして1~2 週間後に治まらない場合や関節が不安定な場合には受診勧奨。不安定感があるままに放置していると、軟骨等の周辺組織が二次的に損傷し、慢性的な痛みや腫れが現れるおそれがある。

問3.【肩こり、筋肉痛、腰痛、関節痛に用いる医薬品の主作用の特徴】
(1) 〔答: ①A,②C,③B,④D〕
(2) 〔答:①E,②B,③C,④F,⑤D〕
⑤関節軟骨や血管、角膜などに多く存在し、発痛物質を吸着・保管・排出することで、痛み抑える働きがある。
(3) 〔答:①B,②D,③E,④C,⑤F,⑥A〕

問4【患者情報確認・生活スタイル】
〔答:①A,②B,③E,④F,⑤D,⑥M,⑦L,⑧H,⑨J,⑩C〕
④サリチル酸系であるため、ライ症候群との関係で記載されている。体内でサリチル酸にならないため、アスピリン等とは扱いが異なる。医療用エテンザミドの添付文書では、15 歳未満の水痘、インフルエンザの患者には原則として投与しない旨「重要な基本的注意」に記載されている。やむをえず使用する場合には十分な観察が必要。
⑤平成 24 年 4 月 24 日、イブプロフェン製剤に対して、胎児の動脈管収縮作用を踏まえ改訂指示が出された。
⑦2014 年03 月、報告に基づき医療用ケトプロフェン外皮用消炎鎮痛薬の「禁忌」に「妊娠後期の女性」が、インドメタシン,ジクロフェナクNa,ピロキシカム,フルルビプロフェン,ロキソプロフェンNa水和物製剤の[妊婦、産婦、授乳婦等への投与]に「他(=ケトプロフェン)の非ステロイド性消炎鎮痛剤の外皮用剤を妊娠後期の女性に使用し、胎児動脈管収縮が起きたとの報告がある」が追記(フェルビナクは従前のとおり)された。一般用では、ロキソニンSは他の外用薬より安全かに見えてしまうが、先行してOTCになっていた内服薬とのバランスで、「外用薬の使用上の注意を内服薬より厳しくする必要はないであろうとの判断」がなされたに過ぎない。
「ぜんそく」についても他の製剤はスイッチOTCだからということで制限が厳しくなっているが、医療用では差がない。シクロフェナクNa貼付剤に至っては内服薬の注意書きまで盛ってある。安全性の比較には使えない。
⑧OTCの中で「他の医薬品を使用している人」の記載があるのは、この製剤とチキジウム臭化物製剤のみ。診断を受けた人:消化性潰瘍,血液障害,肝臓病,腎臓病,高血圧,心臓病,インフルエンザ投与を受けている人:トリアムテレン,リチウム,メトトレキサート,非ステロイド性消炎鎮痛剤,ステロイド剤,利尿剤,シクロスポリン,選択的セロトニン再取り込み阻害剤

問5【アドバイス】〔答:①○ ②× ③○ ④× ⑤×〕
①光線過敏症は使用後数日~数ヶ月後に発現することもあり、具体的に「少なくとも4 週間は」と記載の貼付剤もある。貼付に使った手もよく洗う。本剤使用中はオクトクリレン含有製品(日焼け止め等)の使用禁止。
②~⑤『かぜ薬等の添付文書等に記載する使用上の注意について』②使用上の注意、③~⑤用法・用量関連の注意
②感染症の原因には効果がなく、不顕性化させるおそれもあるため、一般用インドメタシン製剤においては「みずむし・たむし等又は化膿している患部」への使用は禁止されている。NSAIDs 外用消炎鎮痛薬いずれにも記載がみられる(フェルビナクは「化膿している患部」のみ)。
③インドメタシン製剤に記載することになっているが、現在では貼付剤一般に広く記載がみられる。
④「1 か月以上」ではなく「2 週間以上」と記載されている。発売中のNSAIDs 消炎鎮痛貼付薬では、オムニードケトプロフェンパップ(ケトプロフェン製剤はこれだけ)のみ「長期連用しないこと」。
⑤禁止されている。この他、貼ったまま、あるいははがした直後に入浴すると強い刺激を感じるため「1 時間以上前にはがして入浴してください。また、入浴後は30 分位してから使用してください。」とある製品もある。