令和7年度第2回eラーニング 解答解説「頭が痛い」
令和7年度第2回「頭が痛い」正答と解説
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解答解説-頭が痛い
問1.【受診勧奨(病名を口にしない!)】医療機関への受診が必要かどうかを振り分ける。〔答: すべて○ 〕
(1) ①~③では、「最悪」「増悪」「突発」に関する用語で『国際頭痛分類 第3版』を検索。
①「突発」、「突然」、「雷鳴(発症後 1 分以内にピーク)」で検索⇒非外傷性くも膜下出血、非外傷性脳内出血、下垂体卒中、虚血性脳卒中(脳梗塞)、脳静脈血栓症、一過性脳虚血発作、未破裂嚢状脳動脈瘤、頸部頸動脈又は椎骨動脈の解離、非外傷性急性硬膜下出血、頭蓋内動脈解離、自律神経反射障害(血圧↑)、可逆性脳血管攣縮症候群等のおそれ。
問題はくも膜下出血を想定。脳動脈瘤や脳動静脈奇形から出血するが、その出血量が少ないと血管の収縮と瘡蓋によって止血され、多くは吐き気を伴うズキズキする頭痛は、1~2 日で治まる。しかし、適切な治療を受けないと 24 時間以内をピークに再出血しやすく(6 か月以内⇒50%)、その場合の死亡率は非常に高い。また、くも膜下出血後第 4~14 病日に脳主幹動脈で可逆的な狭窄(脳血管攣縮)が起こり、血流障害や脳梗塞を起こすことがある。
②「重度(「中等度~重度」は除く)」、「雷鳴」で検索⇒非外傷性脳内出血、非外傷性くも膜脆いため出血の原因になる他、バイパスして脳虚血症状の原因にも。
動脈瘤 出血部の瘡蓋下出血、非外傷性脳内出血、非外傷性急性硬膜化出血、下垂体卒中、脳静脈血栓症、頸部頸動脈又は椎骨動脈の解離、ウイルス性脳炎、可逆性脳血管攣縮症候群、頭蓋内動脈解離、褐色細胞腫(血圧↑)、自律神経反射障害(血圧↑)、未破裂嚢状脳動脈瘤等のおそれ。
③「増悪」、「進行性」、「悪化」で検索⇒脳腫瘍、頭蓋内感染症(髄膜炎、脳炎、脳膿瘍)、頭蓋内真菌又は他の寄生虫感染、脳静脈血栓症等のおそれ。身体活動により増悪する頭痛もある(高血圧性脳症※、高血圧性緊急症、子癇、心筋虚血等。それ以外に特定の薬品や食品摂取後の身体活動で起こることも。)※:軽度ないし中等度程度の高血圧では、血圧変動と頭痛の有無の間に明らかな関係は認められていない。
④頭蓋内圧が上昇しているおそれ。痛覚受容体への刺激で頭痛、嘔吐中枢への圧迫で嘔吐がみられる。頭痛は頭蓋内圧が亢進する早朝に強まる。吐き気がなくても突然噴出するように嘔吐し、直後でも食べられる。脳ヘルニアによって呼吸中枢が障害を受けると呼吸麻痺等、それ自体が死因になりうる。原因になりうる脳腫瘍、水頭症(主に乳幼児)、脳浮腫(持続的な高血圧、脳静脈血栓症、頭蓋内の出血・炎症、中毒等で起こる)もまた重大。
⑤急性緑内障のおそれ。眼圧の上昇に伴って視神経が障害される。適切な処置を急がないと、数日で失明するおそれがある。異常にまぶしく感じたり、明りを見るとその周りに虹が見えたりする(虹視症)こともある。
(2)①一過性黒内障のおそれ。脳卒中の前触れでもある一過性脳虚血発作や 50 歳以上で頸動脈とその分枝の動脈が侵されて失明の原因にもなる巨細胞性動脈炎等により、眼を栄養する血流が一時的に途絶えたと考えられる。
②群発頭痛のおそれ。発作は 15~180 分間持続し、頻度は 1 回/2 日~8 回/日。頭痛と同じ側に結膜充血又は流涙、鼻閉又は鼻漏、前頭部及び顔面の発汗、縮瞳又は眼瞼下垂、眼瞼浮腫、落ち着きのなさや興奮した様子の内、 1つ以上を伴い QOL は著しく低下。原因未解明で、OTC 効果なし。トリプタン系薬剤の皮下注射は有効率が高い。
③慢性硬膜下血腫のおそれ。頭部外傷により脳と硬膜を繋ぐ橋静脈で少しずつ出血して血腫を形成、通常 1~2ヶ月して脳を圧迫し、頭痛、片麻痺や痺れ、痙攣、失語症、認知症や意欲の低下等が現れる。頭蓋内庄亢進症状の頭痛や嘔吐等は、高齢者では脳が萎縮していて現れにくく、認知症などの精神症状、失禁、片麻痺等が主症状。
④薬剤の使用過多による頭痛=薬物乱用頭痛のおそれ。頭痛薬を、3ヵ月を越え1ヵ月に 10 日~15 日以上(薬による。特にカフェインとの複合剤で要注意)使用した結果として1ヵ月に 15 日以上起こる頭痛。多くは使用をやめれば改善するが、一部の患者の行動は他の薬物依存症と似ているため受診勧奨とした。
問2.【一般用医薬品でも対応できる頭痛】〔答:①A,②C,③E,④G,⑤D,⑥H〕
片頭痛は、どんな薬であれ服用が遅れると十分な効果が得られない。
緊張型頭痛に医療機関では、「鎮痛薬」をはじめ、「筋弛緩薬」、「抗うつ薬」、「抗不安薬」等が処方される。
問3.【解熱鎮痛成分の主作用の特徴】( 1 )〔答:①E,②D,③C,④A,⑤B〕 ( 2 )〔答:①E,②A,③B,④D,⑤C〕「しばり」に注意!
【作用の特徴を知る手掛かり:Tmax(最高血中濃度到達時間)、Cmax(最高血中濃度)、T1/2(生物学的半減期)】薬物投与後、 Cmax になるまでの時間を Tmax、その濃度が半減する時間を T1/2 と表す。「速効性」には Tmax、「持続性」には T1/2 が参考になる。ただし、アスピリンのように代謝物(サリチル酸)の代謝物(ゲンチジン酸)にも作用があるような薬物では、アスピリンそのものの T1/2 だけでは評価できない。
問4.【患者情報確認・生活スタイル】〔答:①A,②G,③D,④B,⑤C,⑥F,⑦⑧⑨KHI,⑩L,⑪J,⑫N,⑬E〕
(1) インフルエンザ脳症やライ症候群のリスクを避けるため。「15 歳未満の小児」に対する制 限は、サザピリン及びサリチル酸ナトリウムについても同様。解熱鎮痛薬は成分によらず、「妊婦又は妊娠していると思われる人」は相談するよう記載されているが、妊娠後期の投与に関して医療用の添付文書には、アスピリンで「妊娠期間の延長、動脈管※の早期閉鎖、子宮収縮の抑制、分娩時出血の増加につながるおそれがある。(省略)患者及びその新生児に出血異常があらわれたとの報告もある。」、イブプロフェンで「妊娠後期のラットに投与した実験で、胎児の動脈管収縮が報告されている」を理由に投与しないよう記載されている。また、カフェイン類には「胎盤を通過し、また母乳中に容易に移行するので、妊婦または妊娠している可能性のある婦人及び授乳婦には長期連用を避けること」とある。
※:動脈管と卵円孔は肺機能の未熟な胎児に必要なバイパスで、出生前の収縮や早期閉鎖が様々な問題を引き起こす。
(2) 母乳中への移行が認められているため「相談すること」になっている。カフェインは食品等にも含まれるため、総摂取量が継続して多くならないよう注意する必要がある。カフェインの半減期は、通常の成人が約 3.5 時間であるのに対して、乳児では約 80 時間と非常に長く、頻脈、不眠を起こさせるおそれがある。
(3) 代謝後にサリチル酸にはならないが、アスピリンと同じサリチル酸系であるため。小児の用法がある一般用解熱鎮痛成分には、アセトアミノフェン、エテンザミド、サリチルアミド、イソプロピルアンチピリンがある。
(4)風邪薬(アセトアミノフェン配合)とアルコールを同時に大量摂取させて死に至らしめたとされる保険金殺人事件で有名になった。代謝物の N-アセチル-p-ベンゾキノンイミンが肝細胞壊死を招き、肝障害を起こす。アルコールは薬物の吸収を促進し、代謝に影響を及ぼすことがあり、副作用や毒性を増強するおそれがあるため、承認基準に基づく解熱鎮痛薬には成分によらず「服用前後は飲酒しないこと」と明記されている。
(5) 直接「頭痛」の効能・効果を持っていないメトカルバモール(骨格筋痙攣弛緩成分)製剤にも、眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるため、同様の注意が記載されている。
(6) 「O.血栓のある人、血栓症を起こすおそれのある人」に対する注意はトラネキサム酸含有製剤に記載。
(7)相談事項には、基準処方の注意の他、血液の病気、気管支喘息、潰瘍性大腸炎、クローン病の診断を受けた人、胃・十二指腸潰瘍、血液の病気、肝臓病、腎臓病の罹患歴、服用後の体温低下等に関する注意もある。
問5【アドバイス】〔答:①○,②×,③×,④×〕
①解熱鎮痛薬には、COX 阻害成分やカフェインが配合されており、胃腸障害を防ぐため空腹時の服用は避ける。
②⇔③説明が反対。片頭痛は精神的ストレスから解放された後や血管拡張作用のある食物やアルコールを摂取した後等の血管拡張が原因。刺激を避け、安静を保つことが第一。「いつ、どの程度の頭痛が起こったか」を記録する「頭痛の日記」は、ストレスの原因を探るのに役立つ。
④薬物乱用頭痛に陥らないように、月 10 回以上の服用は避ける。また、できるだけ複合剤は避けた方がよい。
