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医薬品過剰摂取問題:”オーバードーズ”への対応策、市販薬乱用を防ぐには

 2023/12/27 未分類  

医療界において深刻な問題となっている医薬品の過剰摂取。厚生労働省が最新の調査結果をもとに、特に若者を中心に広がる問題に対処する新しい販売制度の案をまとめました。ここでは、調査結果と提案された対策について解説していきます。

医薬品過剰摂取の深刻な現状

2021年、医薬品の過剰摂取が原因とされる救急搬送人員が1万人を超え、2022年もその数は増加傾向にあります。20代が最も多く、特に女性の10代と20代が増加していることが判明。
国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)の実態調査によると、全国の精神科で薬物依存症の治療を受けた、10代の患者が使用していた主な薬物が2014年は48% が危険ドラッグだったが、20年には市販薬が56% と過半数に及び、22年には65% を占めた。10代の若者が関心を持つ薬物が世代交代した形だ。
「規制強化で危険ドラッグが流通しなくなったため、市販薬で高揚感を得ているのだろうと考えがちだが、そうではない。」 と話すのは若者の依存症に詳しい。松本俊彦(同センター)薬物依存研究部長。麻薬や覚醒剤の化学化学構造を少し変えた危険ドラッグを乱用していた人たちは学校をドロップアウトしたり、非行歴があったりする男性が多かったが、市販薬は非行歴や犯罪歴のない高校生や卒業生が多く、「乱入する人たちが完全に変わった。」という。
松本さんは「市販薬は医師が処方する薬に比べて安全だと思われているが、医療現場では処方されなくなった危険な成分や依存性のある成分が使われていることが多い」と警告する。
厚生労働省が乱用の恐れがあると指定し、松本さんが問題視するのは咳止めと風邪薬の二大成分であるメチルエフェドリンとジヒドロコデイン。前者は覚醒剤の原料で気分を爽快にする作用があり、後者はアヘンから作られ、麻薬取締法の規制対象となっている。いずれも少量であるため、用法・用量を守る限りは問題ないが、長期、または大量に服用すると依存症になったり、精神症状が出たりすることがある。

厚労省研究班の調査によると、21年5月~22年12月に全国7救急医療施設に救急搬送された市販薬の過剰摂取による急性中毒患者122人の平均年齢は26歳で、女性が8割を占めた。使われた市販薬は189品目で解熱鎮痛剤が25% 咳止め19% 風邪薬が18% だった。平均102錠を服用し、自傷・自殺目的が74% を占めた。

・平均年齢は25.8歳で
・男女別では女性が79.5%と8割近くを占め
・男性が20.5%でした。

業別では
・学生が33.6%と最も多く、次いで
・フルタイムで働く人が26.2%
・アルバイト・パートが16.4%などとなっていて、7割余りが家族と同居してました。

このほか、入手経路は、複数回答で
・「実店舗」が65.9%と最も多く、次いで
・「置き薬」が15.5%
・「インターネット購入」が9.3%

検討会の結果と提案された販売制度の変更点

検討会では、全国52の消防本部を対象に実施された調査結果をもとに、以下の販売制度の変更案がまとめられました。

2020年 2021年 2022年 2023年(6月まで)
10歳未満 38(0.4%) 27(0.3%) 26(0.2%) 14(0.2%)
10代 1,018(10.6%) 1,266(12.6%) 1,494(14.0%) 846(15.0%)
20代 2,728(28.4%) 3,079(30.7%) 3,295(30.8%) 1,742(31.0%)
合計 9,595 10,016 10,682 5,625

救急活動記録の初診傷病名に「OD」「オーバードーズ」「薬」「過剰」などの関連ワードが含まれる搬送人数の年代別
単位単位:人、( )内は全体に占める割合を示す

20歳未満の対策

  • 複数の販売を禁止し、1箱のみの販売を原則とする。
  • 乱用目的ではないかの確認を薬剤師などが行う。
  • 購入者の名前を写真付きの身分証で確認し、販売した情報を記録。
  • インターネットでの販売の際は、ビデオ通話で薬の使用方法を説明。

20歳以上の対策

  • 1人1箱の販売を原則とし、複数購入時には理由の確認と身分証の確認が必要。
  • インターネット販売においてもビデオ通話が必要。

医療関係者のコメントと危機感

山口育子委員(認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)は、小学生の薬物中毒搬送のニュースを受け、「濫用の恐れのある薬物についても20歳未満にはネット販売できないようにすることが必要だ」と強調。宮川政昭委員(日本医師会常任理事)も「これからもっと増えてくるだろうということが予想される。国としてしっかりと対応を取らなければいけない」と危機感を示しました。
厚労省研究班の埼玉医科大学病院臨床中毒科の喜屋武玲子医師は「病院に搬送された人は気持ち悪くなっておう吐が止まらなくなったり、ふらつきが強くて歩けなくなったり、思っていた以上の体調不良に驚いたという話をよくする。多くの人は軽症で済むがICUに入るような重篤な状況になる人もいるので注意していただきたい」と述べています。

最後に

医薬品の過剰摂取問題に対処するための新しい販売制度の導入が不可欠です。これにより、若者の健康を守り、社会全体での意識向上を促進することが期待されます。

有資格であります登録販売者が市販薬を販売する際には、法令や倫理に基づいて慎重に行動する必要があります。商品に関する正確かつ十分な情報を提供する責任があり、顧客に対して薬剤の適切な使い方や注意事項を明確に伝えることが求められます。また、顧客の健康状態や服用している他の薬剤についての情報を収集し、適切な商品を勧める際には慎重に対応する必要があります。
そのためには、さまざまなアドバイスや対応ができるよう医薬品登録販売者として日々の自己研鑽が必須です。

大阪府医薬品登録販売者協会は厚労省発出「登録販売者に対する研修の実施要領」に則った登録販売者の外部研修を開催しております。
外部研修受講は義務となっておりますので、当協会の外部研修のご受講をお待ちしております。

登録販売者外部研修会開催概要

・日時:令和6年2月14日(水)13:00~16:00
・場所:阿倍野区民センター(大阪市阿倍野区阿倍野筋4-19-118)
・研修テーマ①:「咳・痰・呼吸困難(熱が伴う場合には風邪症状で)」
講師:大阪医科薬科大学 中村敏明教授
・研修テーマ②:「生理痛がある」
講師:大阪府薬剤師会 杉本幸枝常務理事

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・お申込みURL:http://osakahu.jp/study.html#hokou1

 

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