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令和5年度第2回eラーニング -解答解説「魚の目、タコ、イボについて」

令和5年度第2回 「魚の目、タコ、イボについて」 確認テスト正答と解説

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「魚の目、タコ、イボについて」確認テスト正答と解説

解答解説-魚の目、タコ、イボについて

問1.【受診勧奨】医療機関への受診が必要かどうかを振り分ける。 〔答:(1),(2) すべて ○〕
(1)①結節型メラノーマのおそれ。メラノーマ(悪性黒色腫)は「ほくろのがん」と呼ばれ、たちの悪い皮膚がんの一つ。色素細胞のがんなので、メラニン色素を多量に産生して黒色を呈す
ることが多いが、茶色であったり常色~淡紅色を呈することもある。“しみ”や“ほくろ”について、1)形が左右対称性でない、2)周囲がギザギザしている、3)色が均一でなく濃淡が混じっている、4)直径が6mm 以上ある…の4つのポイントのうち2つ以上あてはまるようなら受診勧奨。
②基底細胞癌のおそれ。表皮の基底細胞や毛包を構成する細胞から発病。黒子や脂漏性角化症※に似ることが多い。中央が潰瘍となり、広がることがある。多くは高齢者の眼瞼や鼻など顔面に発生。転移はまれだが、切除が原則。
※:高齢者の顔に多く見られ、少し盛り上がった数mm~3cm くらいの茶色~黒色の表面が少しざらついたできもの。
③有棘細胞癌のおそれ。表皮の有棘層の細胞が癌化。「イボ状」を呈したり、「ただれ」がみられたりする紅色調の腫瘤で、潰瘍状のこともある。大きくなると悪臭を伴うことがある。
(2)①日光角化症(老人性角化腫)のおそれ。紫外線が原因のため、多くは頭部に発症、放置すると癌化のおそれ。
②尖圭コンジローマやボーエン様丘疹症のおそれ。女性では外陰部に症状があらわれる。性感染症(STD)なので早期に受診し、診断された場合には他人にうつさない様に配慮する必要がある。
尖圭コンジローマは感染後3週から、平均するとおよそ3カ月でブツブツとしたできものができる。痛くも痒くもないが、だんだん数が増え大きくなってくる。医療機関で切除、電気焼灼、炭酸ガスレーザー、イミキモド5%クリームまたは10%ポドフィリンアルコール外用(未承認)による治療がおこなわれる。
ボーエン様丘疹症では子宮頸癌や表皮内癌のボーエン病と同様にHPV16 型ウイルスが検出されることが多い。

問2.【一般用医薬品でも対応できるうおの目・たこ・いぼ】〔答: ①C,②H,③J,④L,⑤G,⑥A,⑦K,⑧M,⑨E,⑩F,⑪N〕
(1)〈イボ〉ヒトパピローマウイルスは“HPV”又は“ヒト乳頭腫ウイルス”とも表現される。多くの種類があり、最もよくみられる尋常性疣贅の他、扁平疣贅、皮膚癌、子宮頸癌、性感染症の尖
圭コンジローマやボーエン様丘疹症の原因ウイルスもある。医療機関においては液体窒素を用いた冷凍凝固療法、電気焼灼法、グルタルアルヒド(保険適応無し)などの外用療法も選択肢になるが、特効薬や特効的治療法は無い。サリチル酸製剤は、皮膚のバリア機能を低下させて広がることも考えられ、専門家の間でも賛否両論ある。1ヶ月を使用目途として「ただし、イボの治療は数ヶ月かかる場合もあります」との製品もあるが、粘らずに治療方法を変えるのも選択肢。
〈ミズイボ〉“伝染性軟属腫”が医学用語。最も簡単で一般的な治療法は、先の小さなピンセットなどでミズイボをつまんでてっぺんのくぼみから小さな白い塊を取り出すもの。冷凍凝固療法と並んで極めて有効だが、いずれも痛みや精神的苦痛を伴う。自然に治ることも多いのだが、手ぬるい対応をすると周りにできる湿疹をかき壊したり、伝染性膿痂疹(トビヒ)を引き起こしたり、他の子供たちにうつしてしまう可能性もあるので難しい。
〈中年イボ(スキンタッグ)、年寄りイボ(老人性疣贅、脂漏性角化症)〉これらは感染症ではないし積極的に治療する必要はない。しかし治療をしたいのであれば、ヨクイニン製剤やサリチル酸製剤では効果が得られないため冷凍凝固療法や切除が必要になるので、医療機関を受診。
参考:医療用ヨクイニンの効能効果は「青年性扁平疣贅、尋常性疣贅」だが、ミズイボも「有効」以上53.3%との報告。一般用は「いぼ、皮膚のあれ」。

問3.【一般用医薬品の使い分け】〔答: ①E,②F,③B,④D,⑤A〕以下、参考事項
①,②いずれも『金匱要略』が原典だが、条文中に直接“いぼ”に関わる記述があるわけではない。
③中国の『外科正宗』に収載されている潤肌膏をもとに、江戸末期の華岡青洲が創案した軟膏。
患部の血行を促し、潤いを与え、肉芽形成を促進するので、患部の治癒を早める。炎症を鎮める働きもある。
④イボの除去、吹き出物やニキビなど肌荒れ・炎症・むくみの改善、神経痛や筋肉痛などの症状の緩和に用いる。
⑤サリチル酸の角質軟化溶解作用による。液剤には耐水性皮膜を作る水絆創膏成分のコロジオンが入っているものがある。イボに関しては医師の判断に基づいて使用した方がよいと思われる。
C:中黄膏(製品=ベルクミン(松浦漢方)、漢方中黄膏パップ(第一三共ヘルスケア)):急性化膿性皮膚疾患(はれもの)の初期、うち身、捻挫
G.薏苡仁湯:体力中等度で、関節や筋肉のはれや痛みがあるものの次の諸症:関節痛、筋肉痛、神経痛

問4【患者情報確認・生活スタイル】〔答:①C,②F,③H,④E,⑤J,⑥D,⑦I,⑧G〕
①「相談すること」に「本品が有効なのは、角質化された表面のざらざらした硬いイボです」と記載されている製品もある。一般の消費者が“イボ”と認識する症状にサリチル酸製剤が適応するケースは多くない。日光角化症(老人性角化腫)では癌化のおそれがある。尋常性疣贅ではサリチル酸で損傷した周囲に増えてしまうこともありうる。お客様相談室で、専門医の判断なしに使用しないよう、ご案内するメーカーもある。
②まず、乳幼児はウオノメやタコができにくい。仮に吸いダコができてもサリチル酸製を使うのは問題がある。そして乳幼児は皮膚が弱く副作用が現れやすい。サリチル酸の経皮吸収による中毒※も発現しやすい。
※:サリチル酸の緩和な中毒はサリチリズムと呼ばれ、頭痛、めまい、耳鳴、難聴、視力低下、過呼吸、悪心・嘔吐が中心で、この段階で使用を中止しなければならない。血中濃度がより高濃度になると、痙攣、意識障害を起こす。
③糖尿病患者の合併症の一つとして感染症にかかりやすく、治癒しがたいことが知られている。また、末梢神経の障害から、痛みやかゆみなどの感覚が鈍くなっていることもある。軟化した患部又はその部分を削り取る際に傷つけてしまい、そこから感染症を引き起こしたり、皮膚の潰瘍、壊死などが起こるおそれがある。
④薏苡仁は子宮筋を興奮させる作用があるといわれているので、妊娠中は別の方法で対処することが望ましい。
⑤紫雲膏の効能・効果に「ただれ、外傷、火傷」もあることから、最初の注意は「症状がひどい人」という意味である。ジュクジュクしているとか化膿しているなど、抗菌作用が求められる患部に紫雲膏は一番手にならない。
⑥構成生薬の麻黄(マオウ)の成分、エフェドリンの交感神経刺激作用による副作用及びそれを起こしやすくする疾患についての注意が加えられているが、鎮咳去痰薬などでメチルエフェドリンを理由に記載されている注意「妊婦又は妊娠していると思われる人」「授乳中の人」「高齢者」「高血圧、心臓病、糖尿病または甲状腺機能障害の診断を受けた人」とは異なっている。
⑦「偽アルドステロン症、ミオパチー」及びそれを起こしやすくする疾患についての注意が加えられている。
⑧構成生薬のブシには毒性があり、妊婦等では副作用が現れやすくなるおそれがあるので、使用しないことが望ましい。また、附子の温性は大熱とされ、虚証の人の新陳代謝機能を回復させ、冷えて疼痛やしびれがあるものに使用されている。誤って用いるとのぼせ、しびれ、めまい、流唾等の附子中毒症状を起こすおそれがある。

問5.【アドバイス】〔①×,②○,③○,④○,⑤×〕
①健康な皮膚には感染できず、障害のある皮膚にでき易い。髭剃りあと、指のさかむけ、手足の荒れ、水虫や靴擦れなどでおこる皮むけのあと等で感染するリスクが高い。イボ・ウオノメ・タコの予防にはスキンケアも重要。
②~④ウオノメやタコの原因は「特定の場所の皮膚への慢性の刺激」である。特に靴の影響が大きいので、靴を変える、調整する、パッドをあてる等が大事だが、それ以外に注意したい例を問題として取り上げた。
⑤「入浴などでぬれた場合は貼りかえてください」と記載された製品もある。バイ菌の巣になるので貼り代える。サリチル酸で傷ついた皮膚が細菌感染したり、水虫になったりすることがある。糖尿病の患者では特に要注意。