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令和5年度第1回eラーニング 解答解説「排尿障害」

令和5年度第1回 「排尿障害」 確認テスト正答と解説

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「排尿障害」確認テスト正答と解説

解答解説-排尿障害

問1.【受診勧奨】医療機関への受診が必要かどうかを振り分ける.〔答:全て○〕
(1)①尿閉を起こす原因疾患の存在と尿閉の合併症:2つの腎臓で尿が作られなくなる腎不全と両側の尿管が詰まる場合(稀)は膀胱に尿が溜まらないから尿意を感じない。尿意を感じても膀胱から排尿できないのが尿閉。尿閉の主な原因は前立腺肥大症と前立腺がん(場合によっては神経因性膀胱も)。尿が逆流して腎盂に達し、圧力が高まって腎組織が委縮し(水腎症)腎機能が失われたり、尿路感染症や結石形成の蓋然性も高まったりする。
②高度の神経因性膀胱のため、緊急手術が適応となるおそれもある:不可逆的な障害を残さないため。
③一過性意識消失のおそれ:その二大原因は,脳細胞の興奮による「てんかん」と一過性の全脳虚血による「失神」。発作時に閉眼していれば「失神」を疑う。特に心原性の「失神」は、突然死の可能性もある。
(2)①薬剤、ホルモンバランスの乱れ、高血圧、心不全、腎機能障害、睡眠時無呼吸症候群等のおそれ:夜間頻尿のうちの「夜間多尿」は、症状の起こる背景に注意がいる。下記2タイプは、症状の程度によって受診勧奨。
・膀胱容量の減少:膀胱が過敏になるために起こる。原因は過活動膀胱、前立腺炎、間質性膀胱炎、骨盤臓器脱等。
・睡眠障害:眠りが浅くてすぐ目が覚めてしまうために、目が覚めるごとに気になってトイレに行く。
②膀胱がん,腎がんのおそれ:尿路結石で「血尿」が出ることもあるが、普通はまず脇腹から外陰部にかけての激しい痛みで異変に気付く。喫煙は膀胱がんの最重要発がん因子で、喫煙者の場合には特に疑う必要がある。一方、尿検査で見つかる血尿=顕微鏡的血尿の原因としては膀胱がんを筆頭に腎がん、前立腺がん、尿管がん、腎盂がん等。がん以外では尿路結石症、糸球体の異常。膀胱炎でも膿尿と血尿を伴う場合がある。
③間質性膀胱炎のおそれ:原因不明で、膀胱に慢性の炎症を起こす病気。
④医療用の抗コリン薬やβ3 受容体作動薬を用いる必要がある:問題文は切迫性尿失禁で、その他の3タイプを否定している。軽度の腹圧性尿失禁以外は受診勧奨が無難。
・腹圧性尿失禁:加齢や出産で骨盤底筋群が緩み、腹圧がかかると漏れる。
・切迫性尿失禁:過活動膀胱を構成する症状(非必須)。急に尿がしたくなり、我慢できずに漏れる。神経因性膀胱や前立腺肥大症も原因になりうるが、多くは特に原因が見つからないのに膀胱が勝手に収縮してしまう。
・溢流性尿失禁:前立腺肥大症等により尿が出にくく、自分で尿を出せないのに少しずつ漏れる。
・機能性尿失禁:排尿機能は正常なのに歩行障害のために間に合わない、認知症のためにトイレでできない等。
⑤副作用のおそれがある。症状の出始めた時期に服薬し始めた医薬品の有無を確認することも重要。関連が疑われるなら処方医に相談すべき。抗コリン作用のある医薬品や漢方薬では麻黄剤で注意喚起されている。

問2.【一般用医薬品でも対応できる排尿障害】〔①B,②A,③C,④E〕
①症状(効能・効果)と漢方処方の関係

②医療用フラボキサート塩酸塩の効能・効果は「神経性頻尿、慢性前立腺炎、慢性膀胱炎に伴う頻尿、残尿感」。過活動膀胱に対しての有効性は十分証明されていない。
③女性の尿失禁の中で最も多い。荷重労働や排便時の強いいきみ、喘息なども骨盤底筋を傷める原因になるといわれ、骨盤底筋体操で尿道のまわりにある外尿道括約筋や骨盤底筋群を強くする。ただし、膀胱瘤を伴うような重症例では受診勧奨。
④カゴソウも同じ効能効果をもつ。ジュウヤクは「便秘,尿量減少,便秘に伴う吹出物」

問3.【一般用医薬品の使い分け】
(1)〔①E,②C,③G,④B,⑤F〕
(2)〔①C,②F,③E,④D,⑤A〕

問4.【患者情報確認・生活スタイル】〔①B,②E,③H,④G,⑤J,⑥F,⑦L,⑧K〕
①〔フラボキサート塩酸塩〕特に「男性」は前立腺肥大症による症状の可能性があり,排尿困難を起こすおそれがあるため,また,「医療機関にて幽門,十二指腸及び腸管の閉塞の診断を受けた人」は腸管運動が抑制されて症状が悪化すおそれがあるため,「服用しないこと」とされている.
参考:ウワウルシには、「むくみのある人」、「心臓又は腎臓に障害のある人」は相談するよう記載されているものがあり、当該製造販売業者2社と厚生労働省に問い合わせたが、随分前からの記載で経緯は不明とのこと。

問5.【アドバイス】〔答:①○,②○,③×,④○,⑤×〕
②実は漢方薬だという製品が色々ある。このテーマの範囲で挙げれば、八味地黄丸:ハルンケア内服液・顆粒,ケアテ顆粒,ジェントスルーコーワ細粒,ホノミカツジン錠、知柏地黄丸:サモンエース、牛車腎気丸:トイリズム漢方ラックル顆粒、六味丸:ロクミナール、清心蓮子飲:ヒンノール,ユリナール,リクトール顆粒、猪苓湯:ホノミボウネツ、五淋散:ノルクスK 錠,ボーコレン等。
③「腎」。腎虚になると易疲労、息切れ、頻尿、夜間尿、性欲低下、腰痛、難聴、冷え、物忘れ等が現れる。
⑤夜尿症は、夜間の尿産生や蓄尿のメカニズムの異常,睡眠覚醒の異常等の様々な要因が複雑に関与した症候群。