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令和5年度第4回eラーニング解答解説「生理痛がある」

令和5年度第4回 「生理痛がある」正答と解説

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「生理痛がある」確認テスト正答と解説

解答解説-生理痛がある

問1.【受診勧奨】医療機関への受診が必要かどうかを振り分ける。〔答 全て○(すべて正答)〕
(1)①異所性妊娠=子宮外妊娠のおそれ。ほとんどは卵管内に着床、流産や卵管破裂に。症状の始まりが月経の時期に重なることが多い。正常な着床でも少量出血がみられることがある。その場合は妊娠検査薬で判定可能だが、子宮外妊娠だと判定可能時期が遅れることがあるため、本人は月経と誤認するおそれがある。放置して卵管が破裂すると腹腔内で大出血をおこしてショック死の危険がある。その時の下腹部痛は急激で強いこともあるが、痛みの程度では判断し難い。
②虫垂炎のおそれ。最初に心窩部が痛むことも。管腔臓器の炎症・閉塞・圧迫や実質臓器の被膜の伸展によって鈍痛が起こる内臓痛で、吐き気や嘔吐を伴うことがある。腹膜に炎症が及ぶと鋭い痛みの体性痛が強くなる。
※:虫垂が伸びている方向や長さには個人差があり、時としてやや離れたところに痛みを訴えることもある。
(2)①子宮内膜症のおそれ。子宮内膜によく似た組織が子宮以外の場所で増殖する。9割の人が生理痛を訴え、約5割で月経時以外の下腹部痛を訴える。この組織はエストロゲンによって増殖して月経時に出血を起こすが、外に排出できないため、放置すると炎症や周辺臓器で癒着を起す。癒着により約3割の患者が性交時痛・排便痛を訴え、卵管周囲の癒着は不妊の原因になりうる。卵巣内で増殖するとチョコレート色の嚢胞ができる。病気は徐々に進行するが、疼痛の程度と関連は少ない。妊娠・分娩を機に治ることがあり、閉経後には症状がなくなる。
②子宮筋腫のおそれ。初経が来てから主に子宮筋層内の平滑筋成分から発生し、エストロゲンで発育する良性腫瘍。閉経後には縮小する。できた場所により子宮内膜が薄くなると出血量が増加、子宮変形により月経血の排出障害、肥大化により下腹部に腫瘤感、周囲への圧迫により障害(神経⇒腰痛、膀胱や尿管⇒排尿障害・水腎症、血管⇒下肢の浮腫や静脈瘤)、子宮内膜への血流低下と内腔変形は不妊症や流・早産などの原因に。
③子宮腺筋症のおそれ。一般に生理痛は子宮内膜症のように強く、過多月経は子宮筋腫のように重く貧血を起こす。合併していることも多い。筋腫はこぶができるが、腺筋症の場合は子宮内膜に類似した組織が子宮筋の中にでき、病変と子宮筋との境界はわかりにくい。
【参考問題】 卵巣腫瘍のおそれ。腹水が貯留して太ったように感じる。片側の下腹部痛、腹部膨満感、膀胱や直腸が圧迫され便秘や頻尿が現れるが、初期には無症状。過多月経や不正性器出血等の特徴的自覚症状を欠くため発見が遅れ易い。腫瘍が大きくなって破裂したり、卵巣腫瘍茎捻転を起こしたりすると激しい痛みが現れる。

問2.【一般用医薬品でも対応できる生理痛など】〔答 ①B,②D,③F,④H,⑤J,⑥I〕
年齢が高いにもかかわらず月経困難が現れた場合にも受診勧奨。器質性(続発性)月経困難症は子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫などによるものが多く、子宮の奇形によることもあるので、その疾患の治療を行う。
月経前症候群では、低用量経口避妊薬(OC 、低用量ピル)や低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEPLEP)で排卵を止め、女性ホルモンの変動をなくすことで症状が軽快する。この他、医療機関ではむくみに対して利尿剤や抗アルドステロン薬、精神神経症状や自律神経症状に対して精神安定剤やSSRI などが処方される。

問3. 【一般用医薬品の主作用の特徴】
(1)解熱鎮痛成分の作用の発現・持続時間等には、個人差がある。〔答 ①B,②D,③C,④E,⑤A〕
(2)〔答:① F,② E,③ D,④ C,⑤ B,⑥ A〕

問4.【患者情報確認・生活スタイル】〔①A,②E,③D,④C,⑤B,⑥H, ⑦J,⑧G,⑨L,⑩N〕
②母乳中への移行が認められているため「相談すること」になっている。カフェインは食品等にも含まれるため、総摂取量が継続して多くならないよう注意する必要がある。カフェインの半減期は、通常の成人が約3.5 時間であるのに対して、乳児では約80 時間と非常に長く、頻脈、不眠を起こさせるおそれがある。
④アルコールは薬物の吸収を促進したり、代謝に影響を及ぼすことがあり、副作用や毒性を増強するおそれがあるため、承認基準に基づく解熱鎮痛薬には成分によらず「服用前後は飲酒しないこと」と明記されている。
特にアセトアミノフェンは代謝物のN アセチル p ベンゾキノンイミンが肝細胞壊死を招き、肝障害を起こす。
⑥ ⑦イブプロフェンは平成27 年3 月に承認基準に加えられたが、これまでの使用上の注意は踏襲されている。
⑩腎臓病の人及び高齢者では、偽アルドステロン症・ミオパチーを起こしやすく、むくみのある人、心臓病、高血圧の人では、その影響を受けやすい。鉱質コルチコイド受容体にアルドステロンが結合して起こる症状だが、コルチゾールが増加・結合しても発症する。腸内細菌によるグリチルリチン酸(カンゾウの成分)の代謝物=グリチルレチン酸は、コルチゾールを代謝する酵素の働きを抑制する。Na+貯留により浮腫、循環血液量増加に伴う高血圧及び心負担増加、K+排泄促進により四肢麻痺等の低カリウム血症によるミオパチーが起こる

問5.【アドバイス】〔① 〇,② ×,③ 〇,④ ×,⑤ 〇〕
①使い捨てカイロで温めると楽になることもある。
②痛みを感じたらすぐに服用。我慢して大量のプロスタグランジンが生成してからでは十分な効果を得られない。
④湯船から出ると急に経血が流れ出ることがある。それ以外は、生理中だからといって入浴を控える必要はない。ぬるめのお湯でゆっくり入浴して体を温めることで、血行が良くなり、リラックス効果も大きい。