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令和2年度第1回回答

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令和2年度 登録販売者生涯学習研修確認テスト 第1講座『「5月病・6月病」』 正答と解説

問1.【受診勧奨(病名を口にしない!)】〔答: すべて○ 〕

(1)1 頭蓋内の疾病が悪化しているおそれ。『国際頭痛分類 第3版日本語版』を「増悪」、「進行性」、「悪化」で 検索⇒脳腫瘍、頭蓋内感染症(髄膜炎、脳炎、脳膿瘍)、頭蓋内真菌又は他の寄生虫感染、脳静脈血栓症、可逆 性脳血管攣縮症候群等。身体活動により増悪する頭痛もある(高血圧性脳症※、高血圧性緊急症、子癇、心筋虚 血等。それ以外に特定の薬品や食品摂取後の身体活動で起こることも。) ※:軽度ないし中等度程度の高血圧では、血圧変動と頭痛の有無の間に明らかな関係は認められていない。
2 腎臓病のおそれ。腎機能が低下すると、血液中の老廃物や体内の余分な水分が排泄できなくなる。「むくみ」 による循環血液量増加に伴って高血圧が起こったり、腎臓でのエリスロポエチンの分泌(赤血球の産生促進)が 低下して「貧血」を起こしたりすることもある。尿の泡立ちはタンパク(主にアルブミン)の漏出による。 急性腎炎は、連鎖球菌によりのどの痛みが起こった後 10 日前後して小児に発病することが多い。
3 急性肝炎のおそれ。主に肝炎ウイルスの感染が原因でおきる急性の肝機能障害を呈する病気。A,E型は経口感染、B,C,D 型は血液又は体液を介して感染する。潜伏期は通常 3~8 週間だが、B,C 型では 6 ヶ月間に及ぶ場合がる。 感冒様症状に続いて現れる黄疸は肝障害が生じていることを示す。食欲不振、全身倦怠感、嘔気、嘔吐などの症 状も同じ時期に現れる。尿の色の変化は黄疸の数日前から現れ、黄疸の進行とともに黒っぽく変化する。
4 アジソン病のおそれ。感染症や自己免疫異常等により、副腎皮質に炎症が起こることで副腎皮質ホルモンが不 足する病気。食欲不振、 悪心・嘔吐、下痢などの消化器症状、無気力、不安、うつなど様々な精神症状も訴える。 不足するホルモンを補充し、特にストレス時には増量しなければ、ショックを起こして死亡するおそれがある。 (2)1うつ病のおそれ。抑うつ状態に気付く前に、食欲がない、体がだるい、疲れやすい、性欲がない、頭痛や肩 こり、動悸、胃の不快感、便秘がち、めまい、口が渇く、不眠などの肉体的な症状だけが現れることもある。脳内 の神経伝達物質、「セロトニン」と「ノルアドレナリン」が不足しているので、それらを是正する「SSRI」、「SNRI」、 「三環系抗うつ薬」などの抗うつ薬の他、症状に合せて補助的に抗不安薬や睡眠導入剤なども使われる。うつ病で は血中コルチゾール(ストレスホルモンの一つ)が増加、これが海馬神経を傷害する可能性が報告されている。 2 慢性疲労症候群のおそれ。死亡することはないが、治りにくいことが多い。疲労状態が 6 か月以上続く、な いしは再発を繰り返す。その他、頭痛、のどの痛み、筋肉痛、関節痛、腹痛、睡眠障害、思考力・集中力の低下、 微熱、筋力低下、首のリンパ節の腫れ等、症状は多様。うつ病では一般に朝に症状が重く、午後に軽くなる。 3 不眠症のおそれ。このような症状は入眠障害。他に夜中に2回以上目覚める中間覚醒、熟睡感が得られない 熟眠障害または2時間以上早く目覚める早朝覚醒があって、こうした障害が1ヵ月も持続し、苦痛を感じるか社 会生活または職業的機能が妨げられている場合には、不眠症が疑われる。眠れないことへの不安や焦りから興奮 して、かえって寝つきが悪くなり、不眠の直接のきっかけとなった外因がなくなっても不眠は”自己増殖”する。 4 甲状腺機能低下症のおそれ。全身の代謝維持に重要な甲状腺ホルモンが不足して活動性が鈍くなる。女性で は生理不順(量が多い、期間が短いなど)も見られることがある。むくみやすくなるのは、ムコ多糖類が皮下に たまるため。眉毛の外側 3 分の 1 が抜けるのも特徴。甲状腺に慢性の炎症が起こる橋本病※が発症の主原因。 ※:自己免疫疾患。多くは首の腫れから病気が見つかるが、ほとんどの患者は甲状腺ホルモンの分泌量に問題はない。 5 粘血便は大腸ガンや潰瘍性大腸炎のおそれがある。潰瘍性大腸炎は大腸粘膜に対する異常な免疫反応でびら んや潰瘍を形成、ひどくなると体重減少や貧血、発熱がみられる。治療により治まっても再発する可能性がある。

問2.【セルフメディケーションでも対応できる「5月病・6月病」】〔答:1D,2E,3C,4B〕 情緒面では、抑うつ気分・不安・怒り・焦り・緊張などの症状、行動面では、行きすぎた飲酒や暴食・無断欠席・ 無謀な運転・けんかなどの攻撃的な行動がみられることがある。子どもでは「赤ちゃん返り」も。不安が強く緊 張が高まると、体の症状として動悸・発汗・めまい・頭痛・不眠・手の震え・腹痛あるいは吐き気なども現れる。 うつ病の場合には、環境が変わっても気分は晴れず、持続的に憂うつ気分は続き、何も楽しめなくなる。持続的 な憂うつ気分、興味・関心の喪失や食欲の低下、不眠などが 2 週間以上続く場合は、うつ病かもしれない。 1は他に他にチョウトウコウ(カギカズラの部位)・ニンジン・セイヨウヤドリギ・コウブシなどを配合。

問3【医薬品の使い分け】(1)〔答:1C,2B,345D・E・F〕しばりに注意。 生姜瀉心湯:体力中等度で、みぞおちがつかえた感じがあり、はきけやげっぷを 伴うものの次の諸症:食欲不振、胸やけ、はきけ、嘔吐、下痢、胃腸炎、口臭 (2)〔答:1B,2A,3E,4C,5D〕1,2覚醒の仕組みは、i)モノア ミン作動性神経系を主とする脳幹部の上行性網様体賦活系を介する経路と、ii) 視床下部後部から伸びている上行性のヒスタミン作動性神経系を介する経路 があると考えられている。i)は外敵の多い環境で警戒し、生存能力を強化、 ii)は認識型の作業において、問題解決能力、学習能力、創造性を向上させる。 3日本では配合剤中のバレリアン(セイヨウカノコソウ)を、通常、カノコソウに代えて承認を取っている。カ

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ノコソウは日本薬局方に収載されている。
しんこん しちきょう かいきょう

4「神昏」は、七 竅(耳・口・目・鼻)が病邪によって閉塞され、意識が混迷してはっきりしない状態。開 竅薬 じゃこう ご おう

によって治療する。麝香や牛黄はその代表的な薬物。七竅は、五臓の精気の通り道と考えられている。

問4.【患者情報確認・生活スタイル】〔答:1C,2F,3E,4A,5G,6I,7J,8M,9K,10H〕 1ジフェンヒドラミン製剤は、睡眠改善薬以外は相談事項。妊娠中の睡眠障害は、ホルモンのバランスや体型の 変化等が原因で「一時的な不眠」にあたらない。1 日最大用量で比較すると睡眠改善薬は 50 mg、鎮暈薬トラベル ミン 120 mg、アレルギー用薬レスタミン糖衣錠 90 mgなので用量よりは使用目的の適正性が問題。ちなみに、医 療用レスタミンコーワ錠の 1 日最大用量は 150 mgで、添付文書には、抗ヒスタミン剤を投与された患者群で、奇 形を有する児の出生率が高いことを疑わせる疫学調査の報告があるため「投与しないことが望ましい」とある。

3一般用では「鎮静」が目的。医療用では高齢者、虚弱者、小児、呼吸機能の低下している患者には慎重投与。 じゃこう

4,5難波恒雄著『原色和漢薬図鑑(下)』には、「妊婦に服用さすと堕胎のおそれがあるので禁忌である。麝香と ご おう ご おう きょう やぶ

牛黄の効用はよく似てはいるが異なっている。牛黄はその薬性涼で、熱を清し、竅 を開き、毒を解し、痰を豁る。 じゃこう けがれ さ きょう
麝香はその薬性温で、 穢 を辟け、 竅 を開き、血を活し、腫を消し、経を通じ、痛みを止める。臨床応用上、以

上の区別をよく認識して用うべきである。」とある。
7,8グルコースとよく似た構造を持つ 1,5 アンヒドロ-D-グルシトール(AG)の血中濃度は、血糖値が上がる とグルコースと一緒に排泄されて低くなり、血糖値が下がると高まる。遠志は 1,5-AG を含み、その血中濃度を 高めるため、糖尿病検査 1,5-AG 検査において、誤診(短期間における改善)を招くおそれがある。 問5.【アドバイス】〔答:1○,2×,3×,4○,5○〕
1とりあえず 20 分、ADHD(注意欠陥・多動性障害)では 5 分と決め、達成を繰り返すことが大事。それに より脳内の『報酬系』神経伝達物質(セロトニン、ドーパミン)が出やすくなり、気分も良くなる。 2水泳、ジョギング、サイクリングなどの長時間無理なく続けられる有酸素運動が効果的。一定の脈拍を維持し ながら 20 分以上有酸素運動することでα波が増加してリラックス状態になる。β-エンドルフィンという脳内麻 薬が増加することも誘因の一つと考えられている。 3セロトニンやノルアドレナリンの主原料になるタンパク質をしっかり摂る必要がある。
4起床してから 14~16 時間後に、脳内でメラトニンが分泌されて眠くなる。体内時計は24時間とは少し違う 周期だが、朝太陽の光を浴びたり、食事をしたり、出勤時刻を守るといったことで、24時間周期に調整される。 5大量投与又は連用中の投与量の急激な減少ないし投与の中止により、痙攣発作、せん妄、振戦、不安等の禁断 症状があらわれることがある。製造販売業者の話を総合すると「長期連用」とは「2週間」と考えておけばよい。