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【登録販売者のまめ知識】登録販売者だからこそ押さえたい!市販風邪薬の「正しい選び方」完全ガイド」

登録販売者まめ知識  

冬の訪れとともに、「風邪なので薬をください…」という相談が一気に増えていきます。風邪薬の相談は来局頻度が高いだけでなく、適切なヒアリングができているか、症状に合った成分を正しく選べているかなど、登録販売者としての力量がもっとも現れやすい分野。

しかし実際には、風邪薬は種類も多く、成分の得意不得意もあり、総合感冒薬が万能というわけでもありません。「意外と風邪薬は難しい」という声が多いのはそのためです。

この記事では、風邪薬の本質から症状別の選び方、接客時の着眼点、注意点まで、「登録販売者として“明日からそのまま使えるレベル”」で徹底解説します。

1.まず理解したい「風邪薬とは何か」

市販の風邪薬はウイルスそのものを治すわけではなく、熱・のどの痛み・鼻水・咳・たん・頭痛などの症状を緩和するための対症療法薬です。

そのため、「症状」→「効果のある成分」という紐づけが非常に重要。

また、意外と見落とされがちですが、同じ“風邪薬”でも成分によって得意・不得意がある点は、販売の際に必ず押さえたいポイントです。
(例:イブプロフェンは炎症性の痛みに強い、アセトアミノフェンは胃への負担が少ない…など)

「とりあえず風邪薬ください」への対応では

  • どの症状がつらいのか

  • いつからか/どの程度か

  • 持病や服薬状況

    などのヒアリング徹底が欠かせません。

症状別・市販風邪薬の選び方

■ 発熱・のどの痛み・頭痛

発熱や痛みがメインの訴えの場合は、解熱鎮痛成分が中心になります。

  • アセトアミノフェン:熱・痛み全般、胃に優しい 。注意点:肝機能障害がある人に注意

  • イブプロフェン:炎症性の痛みに強い(のどの痛みなど)注意点:胃刺激、喘息誘発に注意

  • ロキソプロフェン:即効性が比較的高い。注意点:空腹時は避ける/胃部不快

胃腸が弱い方や高齢者には成分選択に注意が必要です。

また、「のどの痛み+発熱」が強い風邪は、炎症が強く出ているケースが多いため、イブプロフェンを含む風邪薬のほうが適する場合もあります。

■ 鼻水・くしゃみ・鼻づまり

ナイアシンアミド系/抗ヒスタミン/血管収縮成分の働きを理解することが重要。

鼻水・くしゃみ → 抗ヒスタミン
鼻づまり → 血管収縮成分(プソイドエフェドリンなど)

抗ヒスタミン薬の違い(第一世代・第二世代)で眠気、口渇、便秘、排尿困難などの副作用に差が出ます。

とくに高齢者や前立腺肥大の方には、抗コリン作用の強い第一世代(クロルフェニラミン等)は慎重に。「高齢者には強い鼻炎成分の入りすぎ注意」は、現場で非常に重要なポイントです。

■ 咳・たん・のどの違和感

咳は「乾いた咳」か「たんのある咳」かで選ぶ成分が異なります。

  • 乾いた咳 → デキストロメトルファン

  • たん → カルボシステイン/ブロムヘキシンなどの去痰成分

  • 気道の炎症 → トラネキサム酸

特に、
・たんが厚く黄色
・咳が激しく止まらない
・呼吸が苦しい

などの場合は、風邪以外の可能性があるため“受診勧奨の重要ポイント”として説明が必要です。

「咳を無理に止めないほうが良い場合」もあるため、症状確認は特に丁寧に行いましょう。

■ 複数症状・ひきはじめ

複数の症状(熱+鼻水+咳など)が出ているとき、単剤で症状別に揃えるより、症状を幅広くカバーする総合感冒薬の方が実用的です。
ただし、便利な反面「必要以上の成分を摂る」リスクもあるため、お客さまには「この症状でこの成分が入っています」としっかり説明しましょう。

たとえば

  • 熱は全くないのに解熱剤入り

  • 眠りたい時に眠くなる成分が入っていない

  • 仕事中なので眠気成分は避けたいのに第一世代抗ヒスタミンが入っている

など、成分の見極めが必要です。

登録販売者として必ず押さえたい「ヒアリングの徹底」

“正しく売る”ためには“正しく聞く”ことが最優先です。

▼ 聞くべき基本項目

  • どの症状がいちばんつらいか

  • いつから始まったか

  • 熱はあるか/最高何度か

  • たんの色、鼻水の状態

  • 妊娠中・授乳中か

  • 持病(特に高血圧・糖尿病・心臓・腎臓)

  • 服用中の薬、常備薬の有無

▼ 聞き方のコツ

  • 「鼻水は水のようですか?粘りがありますか?」

  • 「咳は眠れないほどですか?」

  • 「寒気や発汗の感じはどうですか?」

こうした具体的な質問は、お客さまの不安を減らしながら情報を引き出す効果があります。

登録販売者が必ずおさえておきたい販売時の注意点

● 成分の重複リスク

風邪薬+解熱鎮痛薬
風邪薬+鼻炎薬
風邪薬+咳止め

といった組み合わせは非常に多く、成分が重なると胃腸障害、眠気、過量摂取のリスクが高まります。
レジ前の「ついで買い」でトドメの重複が起こることもあるため、必ず“今何を飲んでいるか”を確認する習慣を。

● 副作用説明は必須

  • 抗ヒスタミン → 眠気・口渇・排尿困難

  • 血管収縮成分 → 心臓・高血圧の人は注意

  • NSAIDs → 胃への負担、腎機能低下のリスク

  • 去痰成分 → まれに胃部不快

「運転予定はありますか?」は必ず聞きましょう。

● 受診勧奨のタイミング

  • 4〜5日服用しても改善しない

  • 高熱が続く

  • 息苦しい、胸が痛い

  • たんが黄色・緑色で大量

  • ぐったりしている

  • 乳幼児や高齢者の重い症状

これらは市販薬の対応範囲を超えている可能性があるため、丁寧かつ自信を持って医療機関への受診を勧めましょう。

接客でプラスαとなるアドバイス

  • 専門用語より「鼻水はさらっと?粘り気は?」など具体的な質問が安心につながる

  • 薬だけでなく、「水分をしっかり」「部屋を加湿」「無理をしない」など生活面のアドバイスも一緒に

  • 患者の不安を否定せず、「その症状なら、この成分が特に合いますよ」と根拠を示す
  • 常備薬を提案する際は“家族構成”“よく出る症状”を聞いて最適なものを選ぶ

こうした小さな積み重ねが、「またこの人に相談したい」という信頼につながります。

最後に登録販売者のみなさまへ

風邪薬の販売は、登録販売者の知識と判断力が最も試される場面のひとつです。
症状の把握、成分の理解、副作用説明、受診勧奨の判断など、求められるスキルは決して少なくありません。

だからこそ、常に情報をアップデートし、知識を磨き続けることが「信頼される販売者」につながります。

風邪薬は毎年傾向が変わり、新製品も増えています。
ぜひ、継続的研修を定期的に受講し、お客さまに“安心を届けられる登録販売者”を目指してください。あなたの学びは、必ず接客の力になります。


継続的研修 受講は義務

大阪府医薬品登録販売者協会は厚労省発出「登録販売者に対する研修の実施要領」に則った登録販売者の「継続的研修」を開催しております。
継続的研修 受講は義務となっておりますので、当協会の継続的研修のご受講をお待ちしております。

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