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令和5年度第3回eラーニング 解答解説「目の疲れ、目の乾き、痒み、結膜炎、ものもらい」

令和5年度第3回 「目の疲れ、目の乾き、痒み、結膜炎、ものもらい」正答と解説

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「目の疲れ、目の乾き、痒み、結膜炎、ものもらい」確認テスト正答と解説

解答解説-目の疲れ、目の乾き、痒み、結膜炎、ものもらい

問1.【受診勧奨】医療機関への受診が必要かどうかを振り分ける。〔答:すべて○〕
(1)①脳梗塞のおそれ。典型症状は意識障害、片麻痺、片側の手足や顔面の感覚障害、言語障害、失語症(考えても言葉が出ない、相手の言うことが聞こえても理解できない)などがみられるが、ときには健忘症、同名性半盲(両眼とも視野の半分だけが見えなくなる)、複視(物が二重に見える)、ふらつき、嚥下障害などだけのこともある。また、複視は頭蓋内で何かが眼球の運動を妨げるようになった場合にも起こる(頭蓋内圧亢進、腫瘍、バセドウ病による眼窩内への異常組織の蓄積等)。
②一過性黒内障のおそれ。動脈硬化により頸動脈が狭窄を起して血栓ができ、眼動脈が一時的に詰まって起こる。この他、内頸動脈から分枝する動脈が詰まった場合は、両目の右半分または左半分が見えないとか、左右どちかの腕か脚または右半身か左半身に感覚異常、筋力低下若しくは麻痺が起こる。
③原発閉塞隅角緑内障=いわゆる急性緑内障のおそれ。眼圧が急激に上昇しており、直ちに下げないと数日で失明するおそれがある。光源の周りに光の輪や虹が見える現象が生じることもある。眼球が球体として維持できるのは、血液の代わりとなって栄養等を運ぶ房水が毛様体でつくられ、シュレム管から排出されるバランスで10~21 ㎜ Hg の眼圧を保っているから。眼圧が高いと視神経がつぶされ、やがて萎縮して視野欠損を招く。抗コリン作用のある薬で悪化しやすく、緑内障でなくても狭隅角眼、浅前房等の人では急性発作を誘発しやすい。
(2)①慢性緑内障のおそれ。眼圧が正常でも、視神経が圧力に耐えられなければ、視神経は障害され慢性緑内障になる。日本人にはこのタイプが多い。慢性緑内障の唯一の自覚症状は視野欠損だが、最初は眼の中心をやや外れたところに暗点(見えない点)ができる。しかし通常2 つの眼で見ているため、互いの視野でカバーされ、進行するまでなかなか気がつかないことが多い。時々片目で新聞を読むなどして異常をチェックしたい。
②飛蚊症と光視症の症状。放置すると裂孔原性網膜剥離を起こすおそれ。老化による硝子体の液化変性が進むと、網膜から硝子体が剥がれることがあり、光が直進できずに生じる影が飛蚊症として感じられる。硝子体と癒着のある部位の網膜が、眼球の動きに伴って引っ張られて感じる現象が光視症。この部位から網膜に裂孔が生じて裂孔原性網膜剥離が始まることが多い。その時に起こる出血も飛蚊症の原因に。隙間の大きい剥離が急速に進行し、短時間で視野欠損・視力低下が現れ、失明することも。診断は容易で、手術で治療できるので早期受診。若年者に多い後部硝子体剥離を伴わない網膜剥離は、視野の欠損や視力の低下に気づくまで症状はほとんどない。
③網膜色素変性症のおそれ。難病で、夜盲・視野狭窄・視力低下が特徴的症状。網膜の中で光を感じる細胞には、錐体細胞と杆体細胞の2 種類があり、錐体細胞は黄斑に集中して存在し、視力や色覚を担う。杆体細胞はそれより周辺に多数分布して、周辺の視野や暗い中で光を感じる働きを担う。網膜色素変性症では、杆体細胞から障害されることが多いため、夜盲が最初に現れる。根本的な治療法はなく、数年あるいは数十年をかけて進行する。遺伝子治療、網膜移植、人工網膜さらに代替レチノイドなどの研究が行われている。早期から白内障を合併する。
④片目で碁盤を見て、右図のように見えるなら加齢黄斑変性が疑われる。黄斑は網膜の中心にある直径1.5~2mm 程度の部分で、豊富な色素のために黄色い。大変感度がよく、その中心部=中心窩は見ているところからの光が当たる部位のため、変性して障害されると視野の中心部が歪み、視力が著しく低下する。症状が進むと中心暗点を生じたり、色が分からなくなったりする。日本では50 歳以上で約1%、失明原因の第4 位。治療法が開発されて、視力の維持や改善が得られるようになってきた。
⑤白内障のおそれ。水晶体の蛋白質分子が水に溶ける性質を失い、濁って光が散乱するためで、物が二重に見える人もいる。光で分解されて黄褐色になることも。加齢、アトピー、糖尿病、遺伝、放射線、薬の副作用等が関与。
⑥膠原病のシェーグレン症候群(難病)のおそれ。主に涙腺や唾液腺が細胞傷害性リンパ球などにより破壊され、ドライアイ、ドライマウスに。両側性関節痛と朝の強張りがみられることがあるが、関節リウマチほどではない。
⑦毛様充血のおそれ。感染性のもの、免疫反応によるものなど原因はさまざま。炎症が起きている状態で放置すると、視力の回復が難しくなり、虹彩と水晶体の癒着を起こし、緑内障の原因になることもある。

問2.【一般用医薬品でも対応できる目の症状】〔答: ①A,②B,③C,④⑤EF,⑥D,⑦G,⑧H〕
参考:リンパ節の腫脹がみられる場合は、ウイルス(涙も多い)やクラミジアが考えられ、サルファ剤では効果がない。これらの場合には濾胞(まぶたの裏のブツブツ)形成も認められる。濾胞とアレルギー性結膜炎の乳頭増殖とは判別が難しいが、アレルギーの場合であっても乳頭増殖のらしきものがみられれば、受診勧奨が無難。参考:コリンエステラーゼ阻害成分は副交感神経を刺激して毛様体筋を収縮させる。

問3.【眼科用薬の主作用の特徴】(1)〔答: ①B,②A,③C,④F,⑤E〕 (2)〔答: ①B,②D,③A,④G,⑤F,⑥H〕
・この他、ビタミンB1 主薬製剤及びビタミンB1B6B12 主薬製剤には「眼精疲労」の効能・効果を記載できる。
・八味地黄丸は、腎陰陽両虚の薬で、効能・効果は、「体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少又は多尿でときに口渇があるものの次の諸症:下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、かゆみ、排尿困難、残尿感、夜間尿、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)、軽い尿漏れ」。牛車腎気丸は、八味地黄丸に牛膝と車前子
を加味したもので、下半身の浮腫をとる働きが強い。効能・効果の違いは、しばりの「…尿量減少し、むくみがあり、ときに口渇…」と「残尿感」、「夜間尿」、「軽い尿漏れ」がないこと。
八味地黄丸から桂枝と附子を除き、腎陰虚の薬としたものが六味丸だが、腎陰虚から肝陰虚になると目のかすみ、ひいては充血が起こる。杞菊地黄丸は、肝に働いて“明目”の作用がある枸杞子と菊花を六味丸に加えたもの。地黄丸類は、胃腸の弱い人、下痢しやすい人には要注意。桂枝加竜骨牡蛎湯は、偽アルドステロン症に要注意。

問4. 【患者情報確認・生活スタイル】〔答:①D,②A,③G,④⑤FH,⑥⑦CE,⑧B〕
①ナファゾリンやテトラヒドロゾリン等のアドレナリン作動成分は、医療用では閉塞隅角緑内障の患者に「禁忌」。使用の可否は、主治医の判断が必要。ネオスチグミンメチル硫酸塩は反対に縮瞳作用があるが、医療用では閉塞隅角ないし狭隅角緑内障の患者及び狭隅角や前房が浅い等の眼圧上昇の素因のある患者には「慎重投与」。
③~⑦の使用上の注意の説明  ※4~6の注意の記載は承認時の意見を反映したもので、記載理由に基づけば当該
※1:a「妊婦又は妊娠していると思われる人」、b「授乳中の人」に対する注意
a:トラニラスト点眼液0.5%「安全性は確立していない(動物実験で、本剤の経口大量投与により、骨格異常例の増加が認められている)」⇒「投与しないことが望ましい(特に約3カ月以
内)」。クロモグリク酸Na 点眼液2%「動物実験で母体に毒性があらわれる大量の注射により胎仔毒性の報告がある」、その他の製剤「安全性は確立していない」⇒「治療上の有益性が危
険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」。
b:アシタザノラスト水和物点眼液のみ言及:「授乳中の婦人への投与に関する安全性は確立していない」⇒「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」。
※2:治療効果の判定を誤らせ、適切な治療ができなくなる。
※3:具体的な判断基準が示されている⇒●片方の目だけに症状がある場合●目の症状のみで,鼻には症状がみられない場合●視力にも影響がある場合●目やにの多い場合
※4:瞼の裏側に乳頭状病変等を生じている可能性がある。
※5:効能効果にドライアイと症状が重なるところがあり、誤用を避けるため
※6:総合的なアレルギー対策が望ましい。
※7:コンタクトレンズによっては成分が浸透して変質してしまうおそれがある。また、抗原の排除を阻害し、物理的な刺激にもなるし、ドライアイのリスク因子でもある。装用を継続するなら、眼科医の指導の下で行うべきである。

問5【アドバイス】〔答:①× ②○ ③× ④○ ⑤×〕
①「目の乾燥感の緩和」も「妊娠・授乳期のビタミンAの補給」も効能・効果のうちなので、販売自体は問題ない。しかし、妊娠3ヵ月以内の妊婦、妊娠していると思われる人又は妊娠を希望する人には、1日10,000 国際単位以上摂取しないよう注意しておく必要がある(生まれた児に先天異常の割合が上昇したとの報告あり)。
②目を冷やすと疲れを増悪するおそれがあるが、冷‐温を繰り返すことは血流循環を促すので解消につながる。
③漂白剤、洗剤、消毒薬、染毛剤等の薬品が眼に入った場合は、すぐに15 分以上洗眼してから眼科を受診する必要がある。特に、アルカリ性の薬物が目に入ると、表面を侵しながら眼球の中に浸透し、視力障害が残ったり、場合によっては失明したりするおそれもある。中和反応は発熱反応を起こし、安全ではない。
⑤ホームページ上の目安は、参天製薬・千寿製薬3 カ月、ロート製薬2~3 ヶ月。