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【登録販売者のまめ知識】オーラルケアの基礎知識

 2025/10/08 登録販売者まめ知識  

歯周病の予防・対策に向けた情報

歯周病の初期症状はどのようなものか。

  • 歯茎の腫れ・・・歯茎が赤く腫れることがある
  • 歯磨き時の出血・・・歯を磨いた際に血が出ることがある
  • 歯茎の変色・・・健康なピンク色から赤っぽく変化する
  • 口臭・・・歯周病の初期段階でも口臭が気になる場合がある
  • 歯茎のむずがゆさ・・・痛みはないが違和感を感じることがある

これらの症状がみられる場合は、早めに歯科医に相談することをおすすめ(受診勧奨)する。歯周病は進行すると治療が難しくなるため、初期段階での対策(予防・改善)が大切。

歯周病を予防・改善するためには、次のポイントを意識することが重要となる。

  1. 正しいブラッシングの実践
    歯ブラシの毛先を45度に傾け、歯と歯茎の境目を丁寧に磨く。小刻みに動かし、歯周ポケットに毛先が届くようにすることが効果的
  2. デンタルフロスや歯間ブラシの活用
    歯ブラシだけでは届きにくい歯間部を清掃するために、デンタルフロスや歯間ブラシを使用する
  3. 生活習慣の改善
    禁煙は歯周病予防に非常に効果的。栄養バランスの良い食事を心がけ、ビタミンCやカルシウムを積極的に摂取する。また、十分な睡眠と適度な運動で免疫力を高めることも大切。
  4. 定期的な歯科検診
    歯科医院でのクリーニングや歯周ポケットの検査を受けることで、歯周病の進行を防ぐことができる(受診勧奨)。
  5. ストレス管理
    ストレスは免疫力を低下させるため、趣味やリラックスできる時間を設けることが歯周予防に役立つ。
  6. マウスウォッシュの活用
    食後やブラッシング後に殺菌作用のあるマウスウォッシュを使用することで、歯周病菌や虫歯菌の繁殖を抑えることができる。歯科医推奨の製品やフッ素配合のものが効果的。強いアルコールに敏感な場合は、低アルコールやノンアルコールタイプのものを選ぶようにする。
  7. 舌の清掃
    舌の表面には多くの細菌が存在している。舌苔(下の汚れ)は口臭の原因となる場合があるので舌ブラシや舌クリーナーを使って舌苔を除去する週間を取り入れると良い。
    専用の舌ブラシや舌クリーナーを使い表面をやさしくこすって清掃し、強くこすりすぎると傷つける可能性があるため軽い力で行う。
  8. 唾液の分泌を促す
    唾液は天然の口腔洗浄剤のような役割を果たし、細菌を減少させ、口内を清潔に保つ作用がある。砂糖不使用のキシリトール入りガムを嚙むことで唾液の分泌を促したり、水をこまめに飲むことで口腔乾燥を防ぐ助けになる。
  9. 電動歯ブラシの使用
    電動歯ブラシは一定の速度と力で歯を効率的に磨くことができ、普通の歯ブラシでは届きにくい部分まで清掃するので効果的。電動歯ブラシ商品の中には、歯周病対策専用のモードが搭載されているものがある。
  10. 歯間ジェルの使用
    デンタルフロスや歯間ブラシとともに、歯間用の抗菌ジェルを使用することで歯間部分のプラークを効率的に除去できる。
  11. 夜間用マウスガードの使用
    歯ぎしりや食いしばりは歯や歯茎に負担をかけ、歯周病の悪化を招くことがあるため、歯科医に相談して夜間用マウスガードを作成するのもひとつの方法(受診勧奨)。マウスガードをすることにより、歯を保護しながら睡眠中の負担を軽減することができる

歯磨き・デンタルツールの活用術

『歯周予防に効果的な歯磨きの成分』

  • 殺菌成分配合・・・歯周病の原因となる細菌を抑える成分が含まれている、例えばIPMP(イソプロピルメチルフェノール)やCPC(塩化セチルピリジニウム)が配合された商品
  • 抗炎症成分・・・歯茎の腫れや出血を抑える成分(トラネキサム酸やグリチルレチン酸など)が含まれている商品
  • 低研磨性・・・歯茎が弱っている場合は研磨剤が少ない商品
  • フッ素配合・・・虫歯予防も兼ねてフッ素が含まれている歯磨き粉を選ぶのもポイント。

『歯周予防に効果的なマウスウォッシュ』

  • 殺菌成分配合タイプ・・・イソプロピルメチルフェノールやクロルヘキジンなどの成分を含有。歯周病菌の増殖を抑える効果がある
  • 抗炎症成分配合タイプ・・・アラントインやグリチルリチン酸などが含まれ、歯茎の炎症を抑える効果が期待できる
  • 低刺激タイプ・・・アルコールフリーで刺激が少なく敏感な方やお子様にも適している
  • ホワイトニング効果付きタイプ・・・歯の着色汚れを防ぐ成分(例:ポリリン酸ナトリウム)が含まれており、歯周病予防と同時に歯の美白ケアも可能

『歯間ブラシの種類・形状・素材』

  • I字型・・・前歯に適しており、初心者向け
  • L字型・・・奥歯の清掃に便利
  • ワイヤータイプ・・・汚れを効果的に除去可能。ただし、歯肉を傷つける可能性があるので注意が必要
  • ゴムタイプ・・・歯肉に優しく、初めて使う人や歯周病の方におすすめ

選び方のポイントとしては、

  • 歯と歯の隙間に合ったサイズを選ぶ
  • 初めて使う場合は小さいサイズ(SSSSやSSS)から試す

歯ブラシの交換時期から適切な使用を支援する提案を

歯周病の予防・対策には、毎日のオーラルケアが欠かせません。とくに「歯ブラシの交換時期」や「正しい使用方法」は、健康な歯と歯茎を守るうえで重要なポイントです。

歯ブラシの毛先は、約100回の使用で徐々に弾力を失い、汚れを落とす力が低下していきます。1日3回(朝・昼・晩)の歯磨きを続けると、1か月でおよそ90回使用することになります。そのため、歯ブラシは1か月に1回の交換を目安にしましょう。また、毛先が広がってしまった場合は、1か月未満でも交換をおすすめします。

短期間で毛先が広がる場合は、ブラッシングの力が強すぎる可能性があります。強く磨きすぎると、毛先が歯に密着せず広がってしまい、かえって歯や歯茎を傷つける原因になります。

さらに、3週間使用した歯ブラシの毛には100万個以上の細菌が付着しているとも言われています。これはトイレの水に含まれる細菌の約80倍に相当します。雑菌のついた歯ブラシを使い続けると、口内炎や傷口から細菌が入り、感染症を引き起こすリスクがあります。風邪や体調不良のあとには、再感染を防ぐ意味でも歯ブラシの交換を推奨します。

清潔な状態を保つためのポイントとして、

  • 湿気の多い浴室に放置しない

  • 使用後はしっかり水気を切り、毛先を上にして立てかける

  • 家族で1つのコップにまとめて立てない(乾燥しにくくなるため)
    といった習慣を心がけましょう。

また、歯ブラシ交換を習慣づける工夫として、「毎月1日に交換する」「給料日に交換する」など、他の行動とセットにしておくと続けやすくなります。

歯ブラシの正しい交換時期や使用方法を理解し、日々のオーラルケアに取り入れることは、歯周病の予防だけでなく、全身の健康維持にもつながります。薬局やドラッグストアの現場では、こうした基本的な知識をお客様にわかりやすく伝えることが、信頼される接客につながるでしょう。

以上を参考に、日々の店頭販売に活かしてください。

(令和7年5月薬局新聞)


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