【登録販売者のまめ知識】登録販売者が押さえたい!目薬の選び方とお客様への提案ポイント
多様な有効成分の特徴や機能・用途をしっかり把握し、適切なアイケア支援につなげましょう。
目次
プリモニジン酒石酸塩配合OTC目薬の登場
このたび、日本で初めて、充血除去成分として「プリモニジン酒石酸塩」を配合したOTC医薬品(要指導医薬品:マイティアルミファイ)が発売されました。
プリモニジン酒石酸塩は、結膜の静脈および細動脈の血管を収縮させることで結膜充血に効果を発揮するとされ、細胞への酸素・栄養の運搬に大きな影響を及ぼすことなく充血を除去できることが期待されています。
なお、医療用医薬品としては、アイファガン点眼液0.1%(プリモニジン酒石酸塩濃度1 mg/mL=0.1%)がありますが、今回のマイティアルミファイは濃度が0.1 mg/mL(0.01%)で、効能が「結膜充血の除去」である点が最大の違いです。
要指導医薬品は薬剤師が対面販売時に使用方法・注意点を説明する義務があります。現場では、実務を学ぶ絶好の機会にもなります。例えば、結膜充血には「疾患によるもの」「そうでないもの」があり、本製品は疾患による結膜充血では使用できません。また、花粉症などであれば専用の目薬が必要であり、医師による診断・治療が必要な場合は受診勧奨が肝心です。
まずはこの最新トピックスを押さえたうえで、OTC目薬提案に向けた対応を整理しておきましょう。
OTC目薬の選択・提案に向けた基礎知識
目薬も「オールインワン」の時代と言われ、角膜ダメージの修復による眼疲労・かすみ・充血・かゆみなどに「この1本で全て」という商品が主流になりつつあります。ただし、ものもらい(麦粒腫)・霰粒腫・花粉症など、症状・原因が異なる場合は専用目薬が必要です。
登録販売者としては、お客様の主訴を丁寧にお聞きし、その方に合った商品を提案することが大切です。
目薬に用いられる主な成分とその働き
以下は、比較的高機能・高価格帯の目薬に配合される成分とその主な働きです:
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ビタミンA:角膜の修復
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ビタミンE:血行促進
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ビタミンB6:新陳代謝促進
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コンドロイチン硫酸ナトリウム:角膜保護
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タウリン:新陳代謝促進
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L-アスパラギン酸K:細胞呼吸促進
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ネオスチグミンメチル硫酸塩:ピント調節
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クロルフェニラミンマレイン酸塩:かゆみ抑制
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塩酸テトラヒドロゾリン:充血除去
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ε-アミノカプロン酸:抗炎症作用
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ベルベリン塩化物水和物(薄黄色):抗菌・抗炎症作用
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グリチルリチン酸二カリウム:抗炎症作用
これらの成分が組み合わされることで、各メーカーが製品の特徴を打ち出しています。
提案・推奨のポイント
目薬には、高機能・高価格帯(約2,000円前後)と、清涼感重視・価格を抑えた商品があります。お客様に以下のような質問をして、要望を引き出しましょう:
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眼の疲れを取りたいのか?
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乾燥を防ぎたいのか?
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コストパフォーマンスを重視しているのか?
用途・機能別に「高価格帯/低価格帯」で2~3種類ずつ提案できると良いです。
例として:「まずはこの成分濃度の高い(高価格)商品を使ってみましょう」「症状が改善されたら、今までの商品に戻してみるのも一案です」などのアドバイスが有効です。
もし「目薬を使っても疲れが改善しない」と言われた場合には、「目薬の効果が出ないほど目が疲れている可能性があります。その場合は内服ビタミン剤併用で様子を見てはいかがでしょうか」といった提案も可能です。
ドライアイ対応
高齢者には、涙・油分の分泌低下、老眼や白内障による見えにくさからまばたきが減り、ドライアイが起こりやすくなります。若年層では、スマートフォンやパソコンの長時間使用、コンタクトレンズ装着などが原因で発症しやすいです。
ドライアイ予防・改善には、ヒアルロン酸ナトリウム0.1%配合の目薬が効果的です。医療用と同濃度で、涙に流されにくく長時間潤いを保つことが特徴です。目の疲れ・乾き・かすみが気になる方には特におすすめです。
防腐剤について
多くの目薬には、細菌の繁殖を防ぐために防腐剤が含まれています。ただし、防腐剤が角膜障害の原因になる場合もあります。防腐剤に不安を感じるお客様には、防腐剤フリーの目薬や、1回使い切りタイプを推奨しましょう。
UVケアという切り口
これからの季節、紫外線の影響により目のトラブルが生じやすくなります。そこで「UVケア用目薬で紫外線から目を守りましょう!」という提案も有効です。例えば、以下の成分が配合された高機能目薬を案内しても良いでしょう:
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硫酸亜鉛水和物:組織修復・収れん作用
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活性型ビタミンB2:角膜修復促進
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コンドロイチン硫酸ナトリウム:角膜保護
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グリチルリチン酸二カリウム:紫外線による抗炎症作用
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水溶性アズレン:非ステロイド性抗炎症薬
こうした製品は、棚の上段に「高機能・高価格帯」として配置されていることが多いです。
なみだ目
「なみだ目」とは、鼻涙管が閉鎖して涙が鼻へうまく排出されず、目じりなどに涙が残る状態のことを指します。特に高齢者での訴えが多いです。この場合、パッケージに「なみだ目」と記載されている、プラノプロフェン(抗炎症薬)配合の目薬を推奨するのも一案です。症状が改善しない場合には、受診を勧めましょう。
目が痛い場合
目の痛みには、まぶた付近に脂肪の塊ができる「霰粒腫」が背景にあることがあります。このような場合には、アズレンスルホン酸ナトリウム水和物配合の目薬を選んでおくと良いでしょう。また、視界が狭くなる・見えにくいという症状があれば、白内障や緑内障の可能性もあります。原因がはっきりしない場合は、ベテランスタッフに相談するか、受診を勧めましょう。
ものもらい(麦粒腫)
目やに、異物感、ゴロゴロ感といった症状があるものもらいには、スルファメトキサゾール+抗炎症薬入りの目薬が効果的です。使い切りタイプ(20本入など)であれば、症状改善後も残った分を有効期限内に保管できます。プラノプロフェンを併用するとさらに効果的です。
※ボトルタイプの使い回しは不可です。症状改善後はその目薬を廃棄してください。
色や形状といった製品特長の把握も大切
目薬には「色つき」のものがあります。例えば:
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赤色(ピンク):ビタミンB12
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青色(紫):アズレンスルホン酸ナトリウム
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黄色:ビタミンB2
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薄黄色:塩化ベルベリン
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薄緑色:塩化ベルベリン+アズレン
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オレンジ色:塩化ベルベリン+ビタミンB12
ソフトコンタクトレンズ使用のお客様や、服にこぼれないか気にされるお客様には、こうした色・容器の形状・キャップ色などの説明も役立ちます。メーカーのホームページ等で確認しておきましょう。
また、目薬は開封後1ヶ月以内に使い切ること、他人との共有は避けることも衛生面で重要です。清涼感レベル(5段階・10段階など)をメーカー別で比べてみるのも、接客時の話題になります。
以上のポイントを押さえておくことで、お客様の症状や生活背景に合わせた、より的確なアイケア提案が可能になります。目のトラブルは身近で相談されやすい内容だからこそ、私たち販売に携わるスタッフが、日々新しい情報に触れ、知識を更新し続けることがとても大切です。
店頭では「この症状はどの目薬で対応できる?」「受診のタイミングは?」といった質問が増えています。迷ったときに自信を持ってお答えできるよう、普段から学びの機会を意識しておきましょう。
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