【登録販売者のまめ知識】カコナール vs 葛根湯:風邪に効くのはどっち?~初期症状や体質別に選ぶ市販薬のポイント~
風邪の諸症状である鼻水、鼻づまり、咳、喉の痛みなどに悩まされる季節がやってきました。
マスクが手放せないこの時代、特に寒くなるとインフルエンザや風邪が流行りやすくなります。
風邪の種類によっては、発熱や倦怠感などがひどくなり、日常生活に支障をきたすことも。
症状がつらいのに、すぐには病院に行けない場合、市販の風邪薬を試してみるのも一つの手です。
「カコナール」と「葛根湯」の効果や副作用の違いについて解説します。
どちらも風邪の初期症状や頭痛、倦怠感に働きかけ、症状の悪化を抑えてくれる薬ですが、それぞれ異なる特徴を持っています。
目次
カコナールと葛根湯の作用の違い
カコナールについて
風邪の初期に適した、1日2回の液体タイプの漢方風邪薬「カコナール」。
第一三共株式会社が製造するこの商品は、粉薬が苦手な方にも飲みやすいドリンクタイプの葛根湯を含んでいます。
眠気を誘う成分が含まれていないため、仕事や学業にも支障なく服用可能です。
特に、鼻水、頭痛、悪寒、発熱といった風邪の初期症状に効果を発揮し、風邪の悪化を防ぎます。大人向けの配合量で、15歳以上からの使用が推奨されています。
葛根湯について
クラシエが製造する「葛根湯エキス顆粒S」は、傷寒論や金匱要略に記載された葛根湯の処方を基に作られた顆粒タイプの風邪薬です。
効果や風邪へのアプローチはカコナールと類似していますが、漢方成分の配合量に差があります。
葛根湯エキス顆粒Sは、カコナールよりもマイルドで、小さな子どもでも服用しやすい点が特徴です。
2歳未満の子どもから使用できるため、保育園や幼稚園などで風邪をもらいやすい環境にいるお子様にも適しています。
カコナールと葛根湯の同時服用について
カコナールと葛根湯エキス顆粒は、いずれも葛根湯の漢方成分が含まれているため、同時に服用すると成分が重複し、過剰摂取につながる可能性があります。
風邪の症状がつらいときでも、どちらか一方のみを選びましょう。
カコナールと葛根湯の剤型の違い
両者はどちらも葛根湯をベースとした風邪薬ですが、剤型が異なります。
自分に合った剤型を選ぶことで、より快適に服用できるでしょう。
次に、それぞれの剤型の違いについて解説します。
カコナールについて
粉薬や錠剤が苦手な方にとって、カコナールはドリンクタイプなので飲みやすい点が魅力です。
独特の漢方の風味が苦手な方でも、はちみつやジンジャー味などの工夫が施された商品があり、比較的抵抗なく服用できます。
葛根湯について
クラシエ葛根湯は、顆粒タイプと錠剤タイプの両方が揃っています。
カンゾウの甘味成分が含まれているため、味にやや苦みが軽減され、顆粒タイプは比較的飲みやすいですが、漢方の味が苦手な場合には錠剤タイプが推奨されます。
カコナールと葛根湯の副作用について
市販薬でも体に合わないケースがあり、稀に副作用が生じることがあります。
次に、カコナールと葛根湯の副作用についてご紹介します。
カコナールの副作用
カコナールの服用後、皮膚のかゆみや発疹が生じることがあります。
発疹が見られた場合は服用を中止し、医師に相談してください。
また、消化器系に影響が出る場合もあり、吐き気や胃の不快感が続くときは医師に相談しましょう。
葛根湯の副作用
クラシエ葛根湯エキス顆粒でも、カコナールと同様の副作用が報告されています。
重症の副作用として、肝機能障害や偽アルドステロン症候群が発生することもあるため、初期症状が現れた場合は速やかに受診してください。
カコナールと葛根湯の子どもへの使用について
カコナールは15歳以上が対象であり、小さなお子様には使用できません。
大人向けに調整されているため、子どもには適した風邪薬を選びましょう。
クラシエ葛根湯エキス顆粒は2歳未満の幼児から使用でき、年齢に応じた適切な用量が設定されています。
小さな子どもにも安心して使用できるでしょう。
妊娠中・授乳中の服用について
妊娠中に風邪を引いた場合、薬の服用に不安を感じる方もいるでしょう。
次に、妊娠中および授乳中の方における服用の違いについてお話します。
カコナールの使用
漢方薬は一般的に副作用が少ないとされていますが、カコナールに含まれる葛根湯の成分には発汗作用があるため、妊娠中の使用は医師に相談してからの方が安心です。
葛根湯の使用
クラシエ葛根湯エキス顆粒は、授乳中の方に適している一方、妊娠中の使用には注意が必要です。
ご心配な場合は、薬剤師に相談の上で使用を検討することをお勧めします。
カコナールや葛根湯に似た市販薬について
地域や店舗によっては、カコナールやクラシエ葛根湯エキス顆粒が入手しにくい場合もあります。
以下は、風邪の症状に効果が期待できる類似の市販薬のご紹介です。
- 麻黄湯
寒気がひどい時には、体を温める効果のある麻黄湯が有効です。 - 銀翹散A
喉の炎症や痛みがつらいときに適した漢方薬です。 - コフト顆粒
葛根湯と総合風邪薬が配合されており、ひきはじめから風邪の諸症状に幅広く作用します。 - 小青竜湯エキス顆粒
鼻水やくしゃみの症状がつらい場合に適した眠くならない風邪薬です。 - 桂枝湯エキス顆粒
風邪の初期症状や胃腸が弱っている場合に使用できる漢方薬です。
まとめ
風邪の症状や体質に応じて適切な漢方薬を選ぶことは、お客様の症状を効果的に和らげるために非常に重要です。
それぞれの漢方薬には独自の効果と適した症状・体質があり、正しく選ぶことでその効果を最大限に引き出すことができます。
以下のポイントを押さえて、お客様に的確なアドバイスを提供しましょう。
- 症状に合わせた漢方薬の選択:風邪の初期症状には葛根湯、咳が強い場合には麻黄湯、喉の痛みには桔梗湯など、症状に応じて適切な漢方薬を選びましょう。
- 体質を考慮した選択:お客様の体質や日常生活の習慣も考慮し、適切な漢方薬を提案することが大切です。例えば、体力がある人には麻黄湯、胃腸が弱い人には桂枝湯が適しています。
- 服用方法の説明:正しい服用方法を伝えることは非常に重要です。適切なタイミングや量を守ることで、漢方薬の効果を最大限に引き出すことができます。
- 副作用や他の薬との併用についての注意喚起:漢方薬の副作用や他の薬との併用について、必要に応じて医師や薬剤師に相談するようお客様に促しましょう。
漢方薬を正しく活用することで、風邪の症状を効果的に和らげ、快適な日常生活を取り戻す手助けができます。
お客様一人ひとりに合った漢方薬の提案を心がけ、信頼されるアドバイザーとしての役割を果たしていきましょう。